一部のディーゼル車の給油口には、謎の青いキャップが付いていることがありますが、何の意味があるのでしょうか。
■AdBlueは排出ガスをキレイにする影の立役者
最近のディーゼル車は、かつての「黒煙を吐く」というイメージが払拭され、燃料代も安く抑えられることから注目されています。
そんななか、一部のディーゼル車の給油口には、謎の青いキャップが付いていることがありますが、何の意味があるのでしょうか。
ディーゼル車はガソリン車よりも燃料代が安く抑えられる他、トルクフルな走りなどにより、近年注目のモデルです。
かつてのディーゼル車は振動や騒音が激しくて、排気ガスも黒煙まみれなどというイメージが少なくありませんでした。
ところが近年では、欧州車を筆頭にクリーンディーゼルが普及したこともあり、ディーゼルエンジンのイメージが大きく変わってきています。
そんなディーゼル車には給油口やエンジンルームの脇に、青いキャップの充填口が備えられているクルマもあります。
青いキャップの正体は「AdBlue (アドブルー) 」という溶液を充填するための補充口になっています。
AdBlueは別名「高品位尿素水」ともいわれ、基準の厳しいドイツ自動車工業会(VDA)が商標登録している製品で、排気ガスを浄化するために用いられています。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて燃料効率がいいのが特徴ですが、排出ガスに含まれる窒素酸化物の量が多く、人体の健康被害につながるだけでなく、環境汚染の原因として問題視されていました。
窒素酸化物にはアンモニアを加えれば窒素に還元され、排出ガスがクリーンになることは知られていましたが、アンモニア単体は可燃性があり人体にも有害物質であるため、そのままではディーゼルエンジンに搭載できませんでした。
そこで、日産ディーゼル工業が2004年に実用化した「尿素SCRシステム」により、排出ガス内に高品位尿素水であるAdBlueを噴霧することで、AdBlue内の尿素が排熱でアンモニアガスに加水分解されて排出ガスを浄化する仕組みです。
もちろん、AdBlueもディーゼル同様にエンジン始動中は常に消費している状態なので定期的な補充は欠かせません。
走行中にAdBlueがなくなってもエンジンが止まることはありませんが、AdBlueがない状態でエンジンを止めてしまうと、補充するまで再始動できないので注意が必要です。
ほとんどのクルマでは、メーター内の警告灯などで補充を促されます。警告が出たら速やかにAdBlueを補充をすることが重要です。
そんなAdBlueは、どのようなタイミングで補充するのが望ましいのでしょうか。
首都圏内のガソリンスタンドの担当者は、次のように話します。
「AdBlueのタンク容量は、一般的な乗用車で10リッターほどです。消費量は車種や使用状況で異なりますが、1000km走行に対して約1Lほどです。
そのため、AdBlueの補充期間よりも短い、オイル交換の時期に点検、補充するのが望ましいといえます」
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AdBlueの補充はとくに難しいことはなく、補充はウォッシャー液同様に補充口に注ぐだけで、工具も必要ありません。
AdBlueは頻繁に補充する必要がないので管理がおろそかになりがちですが、なくなるとエンジンの始動ができなくなるので定期的な点検は欠かせません。
ただし、AdBlueにも有効期限があり、25度以上、30度以下の保管外気温だと1年ほどしか持たないので、長い期間保存する場合には、涼しい場所での保管が必要です。