「ジャパン モビリティ ショー2023」でトヨタが展示するEVスポーツカーのコンセプトモデル「FT-Se」。しかし2021年には同様のコンセプトモデル「スポーツEV」も発表されています。どのようなクルマだったのでしょうか。
■トヨタが発表したスポーツタイプのEVコンセプトモデル「FT-Se」とは
開催迫る「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」に合わせ、トヨタはブースに出展するコンセプトモデルの第1弾として、2台のEV「FT-Se」と「FT-3e」を発表しました
中でも注目を集めているのが、SUVタイプのFT-3eと主要コンポーネントを共用化して開発されたという、スポーツタイプのコンセプトモデルFT-Seです。
公開されている画像は2点しかありませんが、トヨタが発表している情報によると、ワイド&ローのプロポーションと先進的なワンフォームシルエットを持つ外装デザインを持ち、インテリアもインパネ上部を低くすることで視認性を高め、走行時のGに耐えられる新意匠のニーパッドを採用していることが説明されています。
また、画像からは特徴的なステアリングホイールをうかがうこともできます。
そのほか操縦安定性・空力性能の追求も行われており、ソフトウェアアップデートにより、ドライバーと共に育っていくクルマを目指しているといいます。
このクルマを見て、そういえば以前、似たようなコンセプトの「スポーツEV」というクルマがあったな、と思い出した人がいるもしれません。
2021年12月、トヨタが行なった「バッテリーEV戦略に関する説明会」では、2030年までにグローバルで30車種のEVを発売することを明らかにしたほか、市販化決定済みを含め16種類ものコンセプトモデルを発表して衝撃を与えました。
その中にあったのが、スポーツEVでした。こちらに関してはFT-Seよりもさらに情報が少ないですが、外観から察するとスポーツEVは脱着式のタルガトップを備えた2シーターモデルではないかと思われます。
高い峰を持つ前後フェンダー、ミッドシップスポーツカーを彷彿とさせるリアタイヤ前のエアスクープ、コの字型のライトなど特徴的なデザインが印象的です。当時は「次期MR2なのではないか」などの期待も高まりました。
■「スポーツEV」はスポーツタイプのコンセプトモデル「FT-Se」の前身!?
ところで、前述の16台はいずれもトヨタ・レクサスブランドからの市販化が前提とされており、2023年10月時点で10車種が何らかの形で市販される見通しが立っています。
スポーツEVは残り6車種の中に入っており続報が待たれていましたが、その前に新たにFT-Seが登場することとなりました。
スポーツEVとFT-Seを見比べると、判明している限りではデザインが大きく変更されていることがわかります。
FT-Seではフロントフェンダーの隆起がおとなしくなり、ボディ全体にもエッジが立ってシャープな印象に。ドアの厚みも薄くなっているように感じられるため、キャビン内空間も拡大されているか、もしくは車幅が広がっているかもしれません。
ルーフもタルガトップではなく、ガラスルーフになっているようです。しかしドア後端のキックアップしたグラフィック処理などにスポーツEVとFT-Seの近似性が見受けられるのは興味深いポイントです。
コンセプトモデル然としていたスポーツEVと異なり、FT-Seにはバックミラーの装着のほか、全体的なデザイン処理や仕上げに市販化モデルのような雰囲気を漂わせています。FT-Seは、より市販化に近づくために姿を変えたスポーツEVなのかもしれません。
もし市販化される際は、ショーモデルの意匠や前衛的なステアリングホイールは継承されるのか、どのくらいのサイズで性能はいかほどなのか、車名はどうなるのか、などすべてにわたって話題を巻き起こすことは間違いないでしょう。
個人的には、かつて存在したロータス「エリーゼ」のような小型軽量スポーツカーでの登場を望みます。
EVスポーツカーは大型・超高性能・高価格帯のモデルが多いため、手頃な大きさ・性能・価格で発売すれば、EVスポーツカー界の台風の目になるかもしれません。