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トヨタが「新型モデル」を2台、世界初公開! 斬新ハンドル採用のスポーツ&SUVが凄い! ついに明かされた次世代モデルの特徴とは

くるまのニュース 2023年10月25日 8時45分

2023年10月25日にトヨタは「ジャパンモビリティショー2023」にて、次世代BEVとなるスポーツカー「FT-Se」とSUV「FT-3e」を世界初公開しました。それぞれにはどのような特徴があるのでしょうか。

■ついに明かされたトヨタの次世代BEVとは?

 トヨタは、2023年4月の新体制発表以降、2026年に投入する次世代BEVの存在を示唆してきました。
 
 これまではレクサスブランドから投入されると言う流れでしたが、今回「ジャパンモビリティショー2023」にて、トヨタの次世代BEVコンセプトが2台お披露目されましたがどのような特徴があるのでしょうか。

トヨタが次世代BEVのコンセプトカーとして世界初公開した「FT-Se」

 車台/ソフトウェアプラットフォーム/電子プラットフォーム全て刷新して開発されたトヨタの次世代BEV。

 このクルマからモビリティ変革がスタートします。

 そのキーワードの一つである「進化し続けられる拡張性」を具体化したモノが、FT-SeとFT-3eの2台になります。

 FT-Seは、前述の基本コンポーネントを活用したスポーツモデルになり、その中でも「より小さく」を活かし運動性能をより引き出すパッケージとなっています。

 ボディサイズは全長4380mm×全幅1895mm×全高1220mm、ホイールベース2650mmの2人乗りです。

 エクステリアは、ワイド&ローのプロポーション、先進的な印象をもたらずワンフォルムシルエットなどは、2021年12月の行なわれた「トヨタBEV戦略に関する説明会」のステージ奥に展示されていた「スポーツEV」を思い出しますが、より先鋭、よりシャープ、より未来感が増しているように感じました。

 担当デザイナー氏に話を聞くと「スポーツEVを踏襲する部分もありますが、新たなモデルとしてデザインをしました」と語っています。

 ちなみに全体的なフォルムから「MR-2後継車ではないか?」という意見もありますが「これまでのトヨタスポーツは全く意識しておらず、新たな提案です(担当デザイナー氏)」との事でした。

 インテリアはこれまで脇役とも言える存在だったニーパッドを造形の主にしたデザインが特徴となっています。

 次世代BEVに採用される「デジタライズド・インテリジェント・コクピット」は視界性能や操作性を高めたスポーツカースペックになっています。

 スエード巻きの異形ステアリング(もちろんバイワイヤステア)や、その左右にスマホのようなディスプレイが備わるのは、FT-3eと同じく次世代BEVと共通のようです。

しかし、FT-Seはスポーツカーということもあり、専用の「TRACKモード」を選ぶと専用表示&機能(左側:ラップタイム/ブレーキ【ABS制御】、右側:ブーストマップ/スタビライザー調整)などが備わるようです。

 また鮮やかなブルーのシートにはカーボン製のバケットも。

速そうな足元! これは走りにも期待出来る!?

 やはり気になるのは走り部分でしょう。

 リリースには「TOYOTAGAZOO Racingが取り組む」、「カーボンニュートラル時代におけるスポーツ選択肢の一つ」、「高性能スポーツBEV」と言ったキーワードが記載されています。

 具体的なスペックは未発表ですが、スポーツカーであれば、低ハイト・高エネルギー密度電池は航続距離より軽さを重視、小型eアクスルも出力・パフォーマンスに振った仕様であることが予想できるでしょう。

 更にスーパーフォーミュラのオーバーテイクスイッチのように、押すと数秒だけブーストが掛かる「TRACKモード」も装着され、前述のディスプレイにはブーストが終わるまでのカウントダウンが表示される演出も。

 フットワークはどうでしょうか。

 プレゼン時に背景で流れていた走行動画は、深いドリフトアングルかつリアタイヤから白煙を上げながら定常円旋回。

 マスタードライバーである豊田章男氏の「電気モーターの効率はエンジンよりも遥かに高い。それを活かして四駆のプラットフォームを一つ作れば、制御如何でFFにもFRにもできます。そんな制御があれば、モリゾウでもどんなサーキット、どんなラリーコースでも安全に速く走る事ができると思います」の言葉を信じると、ドリフトモード(=後輪駆動)付の電動AWDで間違いないと思います。

 タイヤはBEVながらミシュラン・パイロットスポーツCUP2とサーキットスペックとなり、サイズはフロント265/35 R20、リア295/35 R20を履いていました。

 ちなみにFT-Seの説明員として車両の横に立っていたのは、GRスープラの開発責任者である硲文彦氏。

 話を聞くと「走りの部分に関しては様々な可能性を考えて検討を進めています。GRのバッジを掲げるからにはモータースポーツからのフィードバックも重要だと考えています。BEVにしては大きなフロントマスクもそのひとつになります」と。

 恐らく、硲氏はBEVでの極限状態での走行を行なう上で「熱マネージメントが重要」である事を言いたかったのでしょうが、筆者はふとこんな疑問が浮かびました。

「そもそも、FT-Seは本当にBEV専用車なのか??」と。 

 それをCTOの中嶋裕樹氏に伝えると、「トヨタにはマルチパスウェイプラットフォームと言う考え方があります。これまでは内燃車→電動車でしたが、その逆があってもいいと思いませんか??」と更に意味深な発言。

 これを過大解釈するとハイブリッドも存在する可能性もあるかもしれません。

 ただ、エンジンが主でモーターがサポートの従来方式ではなく、モーターが主でエンジンがサポートと言う新たな発想だと思われます。

 現時点ではFT-Seはコンセプト要素が強いモデルなので、量産に向けてどのような進展があるのか、楽しみです。

■もうひとつはSUV! 未来感ある「FT-3e」とはどんなクルマ?

  一方、FT-3eは前述の基本コンポーネントを活用したSUVです。

 次世代BEVの中で「より広く」を活かし居住性能をより引き出すパッケージが特徴となっています。

 ボディサイズは全長4860mm×全幅1955mm×全高1595mm、ホイールベース3000mmの5人乗り。

 エクステリアはFT-Seと対照的で、立体を構成する面や線を極力シンプルにしたデザインが特徴です。

 サイドにバッテリー残量や車内温度、車内の空気の質などを表示するデジタルサイネージなどで先進感を表現していますが、個人的には先進性がありながらも、どこか温かみがあるデザインに感じました。

 今回、インテリアはエクステリアモックなので拝見できませんでしたが、フルデジタルメーター、ステアバイワイヤ式の異形ステアリング、サテライトスイッチの進化版である手元デジタルディスプレイで構成される「デジタライズド・インテリジェント・コクピット」を採用しているのは次世代BEVの共通点となるようです。

 最大のポイントは居住性の高さで、BEVファクトリー・プレジデントの加藤武郎氏は「乗員はより低い位置に座っているので、全高は従来のSUV同等ですが天井が高くルーミーな空間に仕上がっています。

 更にダッシュボード回りも低い上にシンプルな構成ですので、これまでのクルマにはない見晴らしの良さも特徴です」と教えてくれました。

 メカニズムは基本コンポーネントはFT-Seと同じですが、SUVのキャラクターを考え、航続距離とパフォーマンス、オンオフをバランス良く備えた走りなど、よりオールラウンドな性能になっているはず。なおタイヤサイズはフロント255/45 R22、リア285/40 R22を履いています。

 ただ、ギガキャスト採用の高剛性ボディ、新開発サスペンションなどによる素性の高さから、従来のSUVを大きくこえる走行性能が実現されているのは言うまでもないでしょう。

こちらは次世代BEVのSUVタイプ「FT-3e」

 更に「嗜好に合わせた価値提供(クルマの性格を自在に可変)」や「エネルギーとデータの移動媒体としての利活用」など、クルマからモビリティに広がる世界への拡張性なども訴求しています。

 しかし、筆者が気になるのは「FT-3e」のネーミングの「3」が何を意味するのかです。

 単純に考えると「量産仕様はbZ3X?」ですが、それはSUVが元々持っているオン/オフの性能に加えて、もうひとつの特徴、つまりBEVの強みを加えて「3つの価値を持つクルマ」の意味だと予測しています。

 これに加えて、すでに発表済みのランクル初となるモノコックボディ&BEVの「ランドクルーザーSe」、次世代BEVピックアップコンセプト「EPU」なども含めて、BEVでも多様性を重視したクルマを多数用意。

 CBOのサイモン・ハンフリーズ氏は「BEVはマルチパスウェイの重要な選択肢」と語っていますが「トヨタはBEVも本気」がより明確になり始めているようです。

 豊田氏は2021年12月のトヨタBEV戦略に関する説明会で「今までのトヨタのBEVには興味が無かったが、これからトヨタが創るBEVには興味がある」と語っていましたが、今回登場したモデルたちは、全てそのようなクルマに仕上がっているに違いないでしょう。

 いや、そうでなければ世に出ないと思っています。

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