トヨタグループのトヨタ車体は10月25日、開催中の「第1回 ジャパンモビリティショー」において、新型ミニバン「クロスバン ギア コンセプト」を世界初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■トヨタの新型「SUVミニバン」 市販化は?
2023年10月25日、トヨタグループのトヨタ車体は東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中(一般公開は28日)の第1回ジャパンモビリティショーで新型「X-VAN GEAR CONCEPT(クロスバン ギア コンセプト)」を世界初公開しました。
新型クロスバン ギア コンセプトは、クロスオーバーSUVスタイルにスライドドアを備えるミニバンのコンセプトモデルです。
ボディサイズは、全長4695mm×全幅1820mm×全高1855mm。室内は長さ2965mm×幅1550m×高さ1340mmと、トヨタの「ノア」「ヴォクシー」の現行モデルと全長・全高が近く、ミニバンとして扱いやすいサイズだといいます。
この新型クロスバン ギア コンセプトについて、トヨタ車体 デザイン部 デザイン戦略企画室 室長の芳形 伸也氏は、開発経緯や特徴について以下のように説明します。
「トヨタ車体ではミニバンや商用車など大きなクルマを担当しており、企画から生産まで一貫して任されています。
こうしたなか、次のミニバンがどのようなものかを考えたときに、若い世代の価値観にあうものを考えました。
ターゲットユーザーは2030年相当のファミリー、つまり今のZ世代です。この世代のユーザーは小さい頃からミニバンに乗って育っており、ミニバンがクルマとして最も身近なボディタイプで、自分たちのクルマというイメージがあると分析しています。
最近はSUVが流行しており、自然なミニバンの形はSUVテイストということになりました」
エクステリアは、直線基調で角張っており、艶消しブラックのバンパーやフェンダーなど、タフで堅牢なイメージを高めています。
ミニバンとしては極めて珍しい、水平に伸びたボンネットや切り立ったフロントガラスなど、クロスバン ギア コンセプト以外では見られない個性的な造形が取り入れられています。
インテリアは、シンプルにまとめた運転席まわりにブルーとライトグレーの明るいカラーを基調としています。
ルーフはガラスルーフを採用しており、ロングスライド機能を持つ助手席は回転させることが可能です。
また、2列目よりも3列目がメインとなるように設計されており、これについて先出の芳形氏は「3列目はドライバーから遠く、子どもが隠れられるようなスペースを持つ特別なシートのため、(設計の)優先順位を高めています」と話します。
さらに、左のドアはフロントが新型「センチュリー」のようなアイシン製のリンクドアを採用し、リアドアはレール付きのスライドドアを持っており、Bピラーを持たない構造です。
これにより、室内への乗り込みが容易になるとともに、自転車のような大きなギアや釣り竿・サーフボードなどの長尺物も楽々と積み下ろしが可能で、ユーザー自身でさまざまな使い方ができます。
なお、パワートレインについては現在のところ確定しておらず、ハイブリッドやPHEV、BEVなど、ニーズに合わせて検討していくといいます。
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今回の新型クロスバン ギア コンセプトの市販化について、先出の芳形氏は「反響次第では市販化に向けてトヨタ自動車本体へと提案するかもしれません」と話します。
新たなミニバンの形を予感させるモデルが、今後市販される可能性もあるかもしれません。