ダイハツは2023年10月25日に「ジャパンモビリティショー」で世界初公開した新型「ビジョン コペン」はどのような経緯で登場したのでしょうか。
■3代目「コペン」を示す 市販化は?
ダイハツは2023年10月25日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中(一般公開は28日から)の第1回「ジャパンモビリティショー」において、新型「VISION COPEN(ビジョン コペン)」を世界初公開しました。
初代「コペン」をオマージュしたコンセプトモデルです。
コペンは2002年に登場した2ドア軽オープンスポーツカーで、現行モデルは2014年6月に発表された2代目。新骨格構造「D-Frame」の採用による剛性・走行性能の向上を図ったほか、内外装を着脱できる「DRESS-FORMATION(ドレスフォーメーション)」を採用しました。
一方で、今回世界初公開されたビジョン コペンは「コペン」の名称を持ちながらも、これまで展開されていたコペンとは大きく異なっており、軽自動車の枠を超えた小型車になりました。
このビジョン コペンについて、ダイハツブースの担当者は次のように話します。
「初代はスポーツカーというよりも、オープンフィールを身近に感じてもらいたいという思いから登場しました。
2代目はドレスフォーメーションの採用で、さまざまな趣向性のお客様に対象を広げようという狙いで登場しました。
そして、3代目を考える際に、次はなにを広げようかなと考えた際に、コペンのDNAを残しながらスポーツの領域に足を広げてみようというコンセプトになりました」
ボディサイズは全長3835mm×全幅1695mm×全高1265mm、ホイールベースは2415mmと、現行コペンと比較して440mm長く、220mm幅広く、15mm低くなっています。
パワートレインはカーボンニュートラル燃料を使用できる1.3リッターエンジンを搭載し、駆動方式はコペン史上初めてとなるFRレイアウトを採用。走る楽しさを極めたといいます。
「実はこのクルマだけBEVという言い方をしていません。このクルマ自体はAT(CVT)を想定していますが、今後次に繋がるアクションがあれば、ATもMTも用意し、さまざまな選択肢を与えるべきだと考えています」(担当者)
ビジョン コペンのエクステリアは2002年に登場した初代モデル(L880K)をオマージュしたデザインで、丸形ヘッドライトや逆台形型の大きなロアグリルが特徴です。
ヘッドライトはCの字に光るシグネチャーライトを装備するとともに、中心部には2灯ランプを配することで、精悍な表情を演出しています。
ボディサイドはリアフェンダーが大きな膨らみを持つことで、ワイドかつスポーティな走りを予感させるとともに、ドアハンドルはフラッシュタイプを採用しました。
リアはフロント同様Cの字形状のテールランプを装備するほか、丸いくぼみに横長の灯体を備えるバックランプやフロントのロアグリルと同様、逆台形型のナンバーポケットなど、初代のデザインが随所に取り入れられています。
インテリアは直線基調でワイド感を感じさせるものとなっており、シンプルながらもデジタルメーターの採用やタッチディスプレイのエアコン操作パネルなどが先進感をもたらしています。
また、シートはライトグレーですが、ドアパネルはブラックのインパネに合わせてグラデーションが施されています。
「オープンスポーツを楽しんでもらうために、インテリアはムダを省いて必要なものを残しました。
シートはグラデーションになっているのですが、車両全体の『明るくしたい』という考えと、『乗って(運転席から見える周りの景色が)煩わしくない』という考えを両立した結果、このグラデーションを採用しました」
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このビジョン コペンはコンセプトモデルとしては完成度も高く、次期型コペンを示すモデルといっても過言ではありませんが、市販化についてはどのような考えなのでしょうか。先出のダイハツブース担当者は以下のように説明します。
「いまの時点ではコンセプトカーだというスタンスになりますが、初代はコンセプトカーを起点とし反響によって市販化に至った経緯があります。
もし登場させるとしたら、これが3代目につながる可能性はあります」
なお、コペンにとって6月19日は初代・2代目が登場した特別な日ですが、次の2024年6月19日については、「現時点では何ともいえません」と話しています。