2023年10月25日、スズキは第1回「ジャパンモビリティショー2023」において、「ワゴンR CBG車」を実車展示しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■「牛フン」で動くワゴンRが実車展示
スズキは2023年10月25日、第1回「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023・以下JMS)」において、「ワゴンR CBG車」を披露しました。
このワゴンRはCBG(Compressed Biomethane Gas:圧縮バイオメタンガス)を用いたクルマだといいます。
ワゴンRは軽ハイトワゴンで、スズキにおける主力モデルとなっています。
現在はベースのワゴンRに加えて、両側スライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴンジャンルに位置する「ワゴンR スマイル」もラインナップするなど、バリエーションの拡充が図られました。
いっぽうで、今回出展されたワゴンR CBG車はインド向けのワゴンR(のうちCNG車)がベースとなっており、これは日本仕様とは全く異なったモデルです。
インド向けワゴンRの現行型は2019年1月にデビューした3代目で、スズキのプラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。
Aセグメントコンパクトカーに位置付けられ、ボディサイズは全長3655mm×全幅1620mm×全高1675mm、ホイールベース2435mmと、日本独自の軽規格よりもひとまわり大きな車体を持ちます。
パワーユニットは1リッター直列3気筒エンジンを搭載し、5速マニュアルトランスミッションと組み合わされます。
燃料は圧縮天然ガス(CNG)に加え、通常のガソリンにも対応しています。
そんなインド仕様のワゴンRですが、今回はスズキにおけるCBG事業の紹介としてワゴンR CBG車を展示しました。
CBG(Compressed Biomethane Gas)とは圧縮バイオメタンガスを指し、牛のフンを原料とした地産地消型のカーボンニュートラル燃料です。
インドでは牛が神聖な動物とされており、街中でもたくさんの牛を目にすることができます。そんな牛10頭が1日に排出する牛フンが、およそクルマ1台の1日分の燃料に相当するとスズキでは説明します。
さらに製造過程で農業用の有機肥料も製造でき、農場の土壌改質にも役立てるといいます。
インドでは2022年からCBG事業をスタートし、温室効果ガスの排出抑制やエネルギー自給率の向上に加え、農村の所得向上や雇用創出、女性の社会的地位向上といった、さまざまなサスティナビリティへの貢献を図っています。
今回のJMSにおけるスズキブースでは、将来のカーボンニュートラルにむけたスズキの多様な取り組みを紹介することがテーマで、これに沿った展示となりました。
なおCBGは、インドで普及する圧縮天然ガス自動車(CNG車)のシステムをそのまま活用することが可能で、今回もワゴンRのCNGがベースに採用されていることに加え、スズキは今後、CNG車の代替燃料としての普及を目指すとしています。
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なお、このワゴンR CBG車は2023年5月に広島で開催された「G7広島サミット(主要国首脳会議)」においても出展されており、JMS同様にCBG事業の取り組みについて諸外国の首脳にアピールしています。