電動キックボードの新ルールが始まってから3か月あまりが経過しました。では、電動キックボードの利用に関してはどのような反響が寄せられているのでしょうか
■「ルールが守られていない」「事故に遭いそうになった」・・・寄せられる厳しい声
16歳以上であれば、運転免許を持っていなくても一定の要件を満たす電動キックボードを運転できるようになってから3か月あまりが経過しました。
では、電動キックボードの利用に関してはどのような反響が寄せられているのでしょうか。
電動キックボードの中でも、車体の大きさや性能などが一定の基準を満たすものは「特定小型原動機付自転車」と呼ばれ、2023年7月1日から、16歳以上であれば運転免許がなくても運転できるようになりました。
特定小型原動機付自転車に分類される電動キックボードは車体の長さが190cm以下、幅が60cm以下であるほか、定格出力が0.6キロワット以下の電動機が使われ、時速20kmを超える速度が出せません。
つまり、大きさや性能は自転車と同程度です。そのため、車道と歩道(または路側帯)の区別がある道路では原則車道の左側を通行し、自転車専用通行帯がある場合はその通行帯を利用するなど、自転車と同様の交通ルールが設けられています。
電動キックボードは免許不要、駐車スペースをとらない、小回りがきくといった手軽さから都市部を中心として利用が広がっていますが、電動キックボードの運転に関してはどのような反響が寄せられているのでしょうか。
まず、SNS上では「都市部でよく見るけどルールを守ってる人正直見たことない」、「クルマで代々木を通ったとき、電動キックボードがバンバン信号無視してた」、「横断歩道を渡ろうと思ったら横から電動キックボードが走ってきて衝突しそうになった」など、交通ルールが守られていない現状を指摘する声が多く寄せられました。
電動キックボードが車道を走る際にはクルマ用の信号を守らなければいけないほか、一時停止や車両進入禁止の道路標識などにも従わなければいけません。
また、通行が許可されている歩道であれば電動キックボードの運転が可能であるものの、その場合には最高速度表示灯を点滅させ、時速6kmを超えない速度で走る、歩行者を優先するといったルールを守る必要があります。
2023年9月には、東京都豊島区の歩道において20代の女が時速6kmを超える速度で電動キックボードを運転し、歩行中の60代女性に衝突して怪我をさせたあと現場から逃走したとして、ひき逃げや過失運転致傷の疑いで逮捕されています。
いくら免許が不要とはいえ、周りの人に怪我をさせるおそれのある乗り物である以上、交通ルールをしっかりと守るのが運転手の務めといえるでしょう。
さらに、電動キックボードの運転手に対しては「ヘルメットしないで車道を走っているから怖い」や「自転車より不安定だから怪我しやすそう」、「頭や腕を保護する装備した方が良い」など怪我の危険性を心配する声も聞かれました。
実は電動キックボードのヘルメット着用は努力義務であり、かぶっていなくても罰則はありません。
しかし2022年9月には、東京都中央区において飲酒後に電動キックボードを運転していた男性が駐車場の車止めに衝突し転倒、頭を強く打って亡くなる事故も発生しており、頭部を守ることは非常に重要といえるでしょう。
そして電動キックボードは自転車に近い乗り物という印象がある影響で「路上駐車をしても駐車違反にならない」と噂されることがありますが、駐車禁止場所に停めれば当然違反に当たります。
クルマと同様、交差点や横断歩道、それらの側端から5m以内の部分などは駐車違反であるため、駐車の際には十分注意しましょう。
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電動キックボードは運転免許なしで利用できるという特性上、交通ルールの遵守が軽視される傾向がみられます。
しかし免許不要になってからわずか3か月で交通事故が相次いでおり、利用者が今一度運転を見直すことが大切といえるでしょう。