ほとんどのクルマが活用している「ETC」ですが、近年は新たなサービスの「ETC2.0」が導入されています。いままでのETCの仕組みとはどう違っているのでしょうか。
■走行に役立つリアルタイムの情報配信や「ETC2.0専用の割引」も
有料道路の通行料金を自動的に支払いできる「ETC」ですが、新たに「ETC2.0」というサービスがスタートしています。
従来のETCとは異なり、大容量のデータを双方向でやりとりできるといいますが、どういったメリットがあるのでしょうか。
ETCは、有料道路の料金所ゲートに設置されたアンテナと、クルマに搭載した車載器との間で無線通信を行うことにより、通行料金を支払うことができるシステムです。
入口ゲートと出口ゲートを通過した時間が記録されることから、時間帯割引が自動適用されるなど、現金で支払うよりも便利でお得なことから、ETC利用率は90%を超えています。
近年、これまでのETCに加えて「ETC2.0」というサービスがスタートしており、現在販売中の新車でETC2.0に対応した車載器が標準装備されていたり、オプションで選択できたりすることが増えています。
もっとも大きな違いとしては、従来のETCによる高速道路料金の支払いに加えて、全国に設置されたITSスポットからドライブに役立つ様々な情報が受け取れるようになった点が挙げられます。
これらのサービスを利用するためには、ETC車載器とカーナビがそれぞれETC2.0に対応した機器であることが必要です。
例えば、渋滞や落下物の発生状況など、広域な道路交通情報がリアルタイムに配信されるため、渋滞を避けたルートの選択が容易となるほか、渋滞末尾情報がカーナビの画面表示や音声案内で配信されます。
さらに、地震などの災害が発生した際にはリアルタイムに情報を取得することができ、大規模災害によって通行止めなどが広域的に発生した際には、国土交通省と自動車メーカーの持つそれぞれの運行実績データをもとに「通れるマップ」が配信されます。
そのため、災害発生時の混乱した状況でも、通行止め地点を事前に把握して、回避したルートを選択することが可能です。
■まだまだ普及が進んでいない「ETC2.0」だがメリットは多い
また、ETC2.0ではデータを双方向でやりとりすることができることから、経路情報の配信以外にも、急ブレーキ箇所や走行速度などの走行データを収集して、交通安全対策の立案や実施に役立てられています。
さらに、交通情報や走行データの送受信以外にも、ETC2.0車のみが利用できる仕組みがあります。
ひとつは「ETC2.0割引」で、圏央道を利用する際に、従来のETCでは出発地と目的地が同じであれば、どのルートを経由しても同一料金ですが、ETC2.0車の場合は圏央道の料金水準が約2割引きになります。
ほかにも、ICからの距離が2km以内にある全国の29か所の道の駅を対象に、高速道路から一時退出が可能です。
これはSAやPAなど休憩施設の間隔が概ね25km以上となるエリアに設定されており、2時間以内に同じICから再進入した場合には、高速道路を降りずに利用した料金のままで通行できるという仕組みです。
SA・PAのないエリアでも、近隣の道の駅で休憩したり、ガソリンスタンドで給油ができるため安心です。
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ETC2.0の利用率は2023年7月時点で31%と、ETC利用台数の約3分の1に止まっています。
しかし、渋滞・規制情報や災害情報などの運転支援情報がリアルタイムに受信できるほか、高速道路利用料金の割引や近隣の道の駅への一時退出が可能になるなど、メリットも多くあります。
クルマを新しく買う時や、カーナビやETC車載器の買い替えをする際には、ETC2.0対応の車載器購入を検討してみてはいかがでしょうか。