運転免許を取得するためには自動車学校や教習所に通うのが一般的ですが、教習所に通わなくても免許を取得する「一発免許」という方法があります。教習所に通う方法とどのような違いがあるのでしょうか。
■教習所に行かなくても「運転免許」は取得可能!
運転免許を取得するには、公安委員会の指定を受けた「自動車教習所」へ通う方法が一般的ですが、実はほかにも運転免許試験場で直接試験を受ける「一発免許」と言われる方法があります。
例えば教習所に通って普通自動車免許を取得する場合、教習所において教習を受け、仮免許の学科試験と実技試験、卒業検定を経て、運転免許試験場で学科試験を受けて合格するという流れです。
一方で、一発免許では運転免許試験場で仮免許の学科試験と技能試験、本免許の学科試験と技能試験の合計4つの試験を受けて合格し、取得時講習を受けることで免許証が交付されます。
この一発免許のメリットは、教習所に通うよりも期間が短くできることと、費用が安くできることです。
教習所へ通う場合、教習には段階があり、第一段階は教習所内のコースにおいてMT免許は15時間、AT免許は12時間以上の教習を受け、仮免許試験に合格後の第二段階では路上に出てMT・ATともに19時間以上の教習を受ける必要があります。
加えて学科教習を第一段階で10時間以上、第二段階で16時間受けなければならないと決められています。
また、教習所では1日に受けられる教習の時間に制限があるため、合宿で毎日集中的に教習を受けて最短で進めたとしても、卒業までは14日から16日程度かかります。
さらに、通学の場合は自分の思い通りに予約が取れないことも多く、卒業までに1か月以上かかることもめずらしくありません。
しかし一発免許では、本免許試験を受けるまでに5日間の路上練習を行う必要がありますが、教習がないため、仮免許の学科・技能試験、本免許の学科・技能試験をそれぞれ1日にまとめて受験し、1回で合格できれば、最短7日間で取得することが可能です。
ほかにも、教習所に通う場合の料金は教習所ごとに異なりますが、20万円から30万円ほどの費用がかかるのが一般的で、規定の教習時間をオーバーして「補習」を受ける場合や、仮免試験や卒業検定に落ちて再受験することになれば、それぞれに追加料金がかかってきます。
その一方、一発免許では受験料や試験車の使用料などで仮免許取得に5500円、本免許取得に5400円に加えて、取得時講習の受講料が1万5400円かかります。
しかしすべて1回で合格できれば2万6300円で済むため、教習所に通う場合と比較して10分の1程度の費用で取得することが可能です。
■「一発免許」に適しているのはどんな人?
このように最も順調に進んだ場合には一発免許のほうが短い期間で安く免許を取得できますが、一発免許はすべての人におすすめできる方法とは言えません。
なぜなら、一発試験をすべて一度で合格するのは初心者にはとても困難で、何度も再受験することになればその都度受験料がかかるため、結果的に教習所に通うのと大差ない、あるいはそれ以上の時間や費用がかかることにもなりかねません。
実際に、警察庁の発表した統計によれば、令和4年度の運転免許試験合格者のうち教習所卒業者がおよそ109万人に対して、一発免許によって学科試験と実技試験を受けて合格した人は1万2千人程度と、わずか1%ほどしか存在しないという結果になっています。
一発免許で取得する人の多くは、過去に免許を保有していたことがあり、取消や失効によって再取得が必要になった人で、運転操作や交通法規に一定の技術や知識がある人です。
教習所に通う場合、運転操作や交通法規などをカリキュラムに沿って一から教えてもらえるため、例えエンジンのかけ方がわからない超初心者であっても免許取得にチャレンジすることができるのです。
このような初心者は当然として、ある程度クルマの運転に自信がある人であっても、教習所に通って指導を受け体系的に学ぶ方が、免許取得後の安全運転にも役立つのではないでしょうか。