長野・群馬・栃木の3県をめぐる「日本ロマンチック街道」という街道が存在します。なぜこのような名称が名付けられているのでしょうか。
■「日本ロマンチック街道」とは何なのか
日本全国には変わった名称の道路が存在します。そのなかの一つ、「日本ロマンチック街道」はどのような特徴があるのでしょうか。
日本ロマンチック街道は、長野県上田市を起点に東御市・小諸市、群馬県嬬恋村・草津町・沼田市などを経て、栃木県日光市に至る広域観光ルートの名称です。全長は320kmにおよぶといいます。
そもそもなぜこのような名称が付けられているのでしょうか。これについて、日本ロマンチック街道協会の担当者は次のように話します。
「由来は、ドイツの古都ヴュルツブルクからオーストリアとの国境に近いフュッセンまでをつなぐ『ロマンチック街道』に縁があります。
約360kmをつなぐロマンチック街道は、ドイツを代表しヨーロッパNo.1の観光ルートといわれており、日本ロマンチック街道は姉妹街道関係を持っています。
日本ロマンチック街道は、日本において最もドイツ的景観を持つ街道であることとあわせ、日本ロマンの詩人たちが多くの作品を残した日本で最もロマンあふれる街道としても知られています。
1988年11月25日には、日本ロマンチック街道協会とドイツロマンチック街道協会は姉妹街道として締結され、文化的交流を図りながら100年先の未来に向けて価値ある街道づくりを目指しています」
ドイツからオーストリアを目指すロマンチック街道にならい、日本ロマンチック街道と呼ばれているそうです。
全長320kmの街道には、上信越高原や尾瀬、日光といった各国立公園を結ぶほか、浅間・白根・日光白根などの火山がつくり出した高原、滝、湖沼、湿原が見られたり、近世の城下町、温泉町、宿場町といった歴史・文化スポットが数多く点在しているのが大きな特徴です。
日本ならではの良さが詰まった景色の感じられる街道といえますが、今回は担当者におすすめの街道スポット3つを聞きました。
■日本ロマンチック街道の「個人的」おすすめスポット3選
前出の担当者は、日本ロマンチック街道のおすすめスポットについて、次のように教えてくれました。
「ありすぎてご紹介できないのが正直なところですが、あくまでも私個人のおすすめということで、3つ紹介させていただきます。
まず一つ目は、上信越高原国立公園にある『高峰高原』です。
スタート地点の長野県上田市から小諸市を経由してチェリーパークラインで一気に北上すること約40分ほどで到着します。
高峰高原は、車坂峠を中心としたなだらかな高原で、市街地からさほど離れていないにもかかわらず、鮮烈な自然が息づく別世界のようです。
車坂峠からの展望はすばらしく、眼下に千曲川、遠く富士山、八ヶ岳、北アルプスの山々が一望できます。
ちなみにこのチェリーパークラインには、小諸市ゆかりの島崎藤村、小林一茶、若山牧水、高浜虚子、幸田露伴など錚々たる顔ぶれの文人らの句碑や歌碑が建てられているのも魅力の一つです。
二つ目は、群馬県みなかみ町にある『裏見の滝』です。
先ほどの高峰高原から嬬恋村、草津町を抜けて進むこと3時間半ほどで、群馬県最北部の、谷川岳が美しいみなかみ町に到着します。
みなかみ町で私のおすすめする裏見の滝は、名前のとおり滝壺の奥に行くことができ、滝の裏側から流下する水を見ることができる滝なのですが、現在は落石の恐れがあるため裏側には行けません。
日本武尊(ヤマトタケル)が雨乞いをした伝説がある落差50mの大瀑布は、観瀑台からの眺めもすばらしく、豪快に水しぶきをあげて落下する様は圧巻です。
そして三つ目は、世界一長い並木道といわれる栃木県の『日光杉並木』です。
間近で見ると幹の太さとそのスケールに思わず息を飲むほど。杉は徳川家康の忠臣である松平正綱が約20年の歳月をかけて植えたもので、現在は国の特別史跡と特別天然記念物の二重指定を受けています。
また、戊辰戦争の時の砲弾が杉に食い込み今でもその銃弾を抱えたまま残っている『砲弾打ち込み杉』もあります。歴史の生き証人が住む昼でも暗い場所です。ぜひとも足を運んでいただきたいと思います」
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最後にドライバーに向けて、前出の担当者は次のように呼び掛けます。
「日本ロマンチック街道は、その美しい絶景はもちろんのこと、歴史・文化そしてロマンを感じられる街道です。
秋はドライブに最適な時期となりますので、ぜひとも足を、クルマを運んでいただきたいと思います」
紅葉の季節のドライブにはぴったりといえるでしょう。これを機に、ドライブのルートのひとつに、日本ロマンチック街道を組み入れてみても良いかもしれません。