開催中のジャパンモビリティショーで、ダイハツが展示していた「ユニフォーム」シリーズについて、働くクルマとして実用化が期待されるさまざまな装備や意匠が見られます。
■新たな「軽バン&軽トラ」の形を表現 実用化に期待
東京ビッグサイトを会場に開催されている「東京モーターショー」改め「ジャパンモビリティショー2023」には、多くの未来のモビリティが展示されています。
その中でも軽自動車やコンパクトカーで知られるダイハツは、「お客様に寄り添い、暮らしを豊かにする」という現在のビジョンに沿った展示がなされていました。
同社のブースで展示されたモデルはコンセプトカーではあるものの、遠い未来の話ではなく、今から数年後の未来がテーマとなっているということで、実際にすぐに販売されてもおかしくないようなリアリティを纏った車両が多いのも特徴となっています。
そんなコンセプトカーの中でも注目を集めていたのが、「Uniform Truck(ユニフォームトラック・以下トラック)/Uniform Cargo(ユニフォームカーゴ・以下カーゴ)」と名付けられた軽自動車サイズのトラック&バンです。
シンプルでありながら個性を感じさせるエクステリアデザインには、堅牢さを感じさせるパイプのような意匠が用いられています。
カーゴはそれがルーフ部分まで伸びてルーフレールとしての役割も果たすほか、ユーティリティホールも開けられているため、ルーフに直接積んだ荷物をロープで固定するなど、実用面でも考えられているのはさすがといったところ。
ドアハンドルなども作業グローブなどをしたままでも容易に操作ができるように、あえて大きくがっしりした形状となっているなど、ビジネスユースで使われることを想定した仕上がりとなっています。
どちらも同様のテイストのフロントマスクをもってはいるものの、小回り性も重視されるトラックではショートホイールベースなフルキャブオーバーとなっており、ホイールベースを長く採って室内空間寸法を稼ぎたいカーゴはセミキャブオーバーになっているという明確な違いが存在。
それにあわせてドアヒンジもトラックが外ヒンジ、カーゴが内ヒンジになるなど、コンセプトカーとは思えないほどの作り込みがなされているのも特徴と言えるでしょう。
また、ボディ下部の黒い部分やホイールカバーには端材などを利用した再生プラスチックの樹脂パーツが使用されており、独特な模様とともにサステナビリティにも配慮している点も注目です。
一方、インテリアについては極力シンプルに作ることをテーマとしており、メーカーとしては素の素材を提供し、ユーザーの使用環境に合わせて必要な装備を追加してもらいたいと考えているとのこと。
例えば近年のクルマでは装着されることが当たり前となりつつあるナビゲーションやディスプレイオーディオも、毎日決まったルートを走行するようなユーザーにとっては必須の装備ではなくなるため、あえて標準化はせず、棚状になっているインパネに必要であれば後から装着できるようにしているそうです。
もちろんオプションで用意されるものだけでなく、タブレットをホルダーに固定して使うとか、DIYで収納を作るといったユーザー側が自由にカスタマイズする幅も残しているそう。
ドアの内側は荷室の壁面など多くの場所にユーティリティホールが備わっていて、自由にカスタマイズすることができるようにしているのも注目ポイントと言えるでしょう。
パワートレインはBEV(バッテリー電気自動車)を想定しているということで、エアコンユニットも小型なものを採用できるため、ブロアーファンなどをインパネ中央下部に集約し、インパネ下部からヘッドライト下の窓部分を活用して路面状況などを確認できるようになっている点も、狭い道や畑のあぜ道などを走ることの多い軽トラ/軽バンにとってはありがたい装備となっています。
トラックの荷台部分には、現在ダイハツがすでに展開している軽トラの荷台で移動販売をする新しい試みの「Nibako」の未来版とも言えるものが架装されており、BEVであることを活かした水耕栽培を実施。
これにより、産地直送ならぬ“産地直売”が可能となり、移動販売の新たな形となっていました。
このように斬新な未来感のあるスタイルを持つ一方で、働くクルマとしても非常によく考えて作られているユニフォームシリーズは、すでに「BEVじゃなくてもいいからすぐに出してほしい!」という声も届いているようで、今後の展開に期待したいところです。