橋桁落下事故を受けて国道1号静清バイパスでは工事がストップしていましたが、再発防止策を踏まえて工事は順次再開。あわせて、公表されていた開通見通しも見直されます。
■11月から作業を順次再開
2023年7月に工事中の橋桁が落下する事故が起きた国道1号静清バイパス「清水立体」事業について、国土交通省中部地方整備局静岡国道事務所は2023年10月31日、再発防止策を踏まえて一時中止していた工事を順次再開すると発表しました。
静清バイパスは、静岡市の清水区興津東町(興津IC)から駿河区丸子二軒家(丸子IC)までの延長24.2kmを結んでいます。
全線が4車線(片側2車線)で開通していますが、東名高速の清水ICと接続する前後の区間だけは信号のある交差点が残っており、クルマの流れを悪化させています。
このため今の静清バイパスの上空に延長2.4kmの4車線高架道路を新たに造って交差点を立体交差に変え、渋滞緩和や清水ICへのアクセス改善、交通事故削減などを目指す事業が進んでいます。
高架道路は設計速度80km/h・4車線、地上の街路部は設計速度60km/h・4車線で整備されます。
完成すると、平日朝ピーク時の興津IC~丸子IC間の所要時間は3~5分ほど短縮される見込みです。渋滞がより激しい上り(東京方面)の工事を優先して進めており、2026年春頃にまず上りが開通する計画でした。
しかし7月6日3時すぎ、清水区尾羽の高架道路の建設現場で、長さ約63m、幅約2.5m、重さ140tの橋桁を架設していたところ、その橋桁が約7mの高さから歩道上に落下する事故が発生。これにより作業員8人が巻き込まれ、2人が死亡、6人が重軽傷を負いました。
その後、工事は一時中断し、9月22日には事故調査委員会が中間とりまとめの報告書と再発防止策を公表しています。
静岡国道事務所によると、同様の架設工法を用いる清水立体の別の現場2か所は、この再発防止策を踏まえ、工法を点検し、11月から作業を順次再開する予定です。
事故現場では、今後、落下した橋桁の造り直しが必要となることから、公表していた「2026年春頃に上り開通」は遅れる見込みといいます。
新たな開通見通しについては、工事再開後に工程を精査したうえで改めて公表するとしています。