意外と良く分かっていないのがクルマの「正しいハンドル操作」です。日ごろクセになっている操作方法が、実はリスクの高い「NG操作」という場合も。実は危ないハンドル操作について検証します。
■ちっともカッコよくないうえに危ない「内掛けハンドル」
普段何気なく操作しているクルマのステアリング(ハンドル)ですが、正しい回し方で操作できている人はあまり多くないようで、なかには、事故や大けがに繋がるような「危険な回し方」を無意識にしている人もいるようです。
もしかしたらやっているかもしれない、ハンドルの危険な回し方について紹介します。
ハンドルの握り方にはいくつかの方法があります。
ひとつは、直進時には「10時10分」、もしくは「9時15分」の位置を外側から握り、右左折やカーブを曲がる際などハンドルを回す際には、腕を交差させることなくちょっとずつハンドルを送るように回す「送りハンドル」。
もうひとつは、腕をクロスさせながらハンドルを持ち変えて回していく「クロスハンドル」です。
これらの正しいとされる操作方法は、自動車運転教習所やドライビングレッスンなどで教わってきた経験があるかと思います。
一方で、冒頭で触れた「危険な回し方」とは、ハンドルを回す際に、ハンドルの輪の内側から手を入れてハンドルを回す操作方法のこと、いわゆる「内掛けハンドル」(逆手ハンドル)といわれるものです。
ハンドルの内側を引っ張るように力を入れるので、交差点を曲がるときや車庫入れなど、ハンドルをたくさん回す必要があるときに力が入りやすく、無意識のうちに内掛けハンドルをやってしまっている人も少なくないようです。
むしろ内掛けハンドルが「カッコいい」と勘違いしているケースも多いと聞きます。
また、ハンドルを回す力をアシストしてくれるパワーステアリング(パワステ)が装備されていない時代によく使われていたことから、年配の方は今でもこの内掛けハンドルで操作してしまっている人も多いとされています。
しかし内掛けハンドルは、非常に危険な操作方法です。
ハンドルの内側に手を入れてしまうことで、とっさに回避しなくてはならない場合に、逆方向へハンドルを切ることが難しくなり、事故を回避できなくなる、という危険があります。
このリスクは、意外なほど知られていないようです。
また、万が一の事故でエアバッグが作動した際、腕がエアバッグに押し潰され、大怪我をする可能性も。
パワステが装備されていなかった時代ならともかく、昨今のクルマでは内掛けハンドルをしなければならないほどにハンドルが重たいクルマはありません。
とっさの際に回避できるよう、ハンドルの内側に手をかけないようにしておくことのほうが重要です。
■ハンドルの復元力に任せ「シュルシュルと戻す」のも「NG」です!
ハンドルの操作方法としてはほかにも、ハンドルをたくさん回したあと、戻す際にハンドルから少し手を離し、シュルシュルシュルとハンドルが勝手に戻る力を使って戻すのも、よくない操作方法です。
これもクセになっている人が少なくないようですが、NGなハンドル操作といえます。
ハンドルから手を離してしまうことで、ハンドルのセンター位置を見失ってしまう状態、つまり、いまどのくらい回っているのかわからなくなる可能性があります。
このことで、歩行者や自転車の飛び出しなどがあった場合に、ハンドル操作による回避を正確にすることが難しくなるのです。
また、ハンドルがまっすぐに戻る力(ハンドル復元力)に任せてしまうことで、ハンドルが戻るスピードが一定にならず、交差点などの立ち上がりでクルマがふらつく原因にも。
ハンドルを戻す際は、ハンドルの外側を両手でそっと握り、送りハンドル(腕が交差しないように、手の位置をずらしながら操作する)、もしくはクロスハンドル(左右の腕をクロスさせるようにして持ち替えていく)で戻していくようにしてください。
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「ハンドルの回し方なんて自己流でもいいじゃないか」と思う人がいるかもしれません。
しかしクルマの運転は、正しい操作方法を身に着けておくことで、リスクを低減させることができますし、疲れにくくもなります。
どんなベテランドライバーであっても、悲惨な事故の加害者となってしまう可能性はあります。
ぜひ正しい操作方法を身に着けたうえで、ドライブを楽しんでください。