第1回「ジャパンモビリティショー」で、トヨタグループのトヨタ車体は新型「ヴェルファイア」をベースにした4人乗りの豪華仕様「ヴェルファイア スペーシャスラウンジ コンセプト」を世界初公開しました。どのような特徴があるのでしょうか。
■専用設計の豪華な大型後席シートを2席装備
トヨタグループのトヨタ車体は、2023年10月28日から一般公開された第1回「ジャパンモビリティショー(JMS2023)」で、新型「ヴェルファイア」をベースにした4人乗りの豪華仕様「ヴェルファイア スペーシャスラウンジ コンセプト」を世界初公開しました。
すでに新型アルファード/ヴェルファイアには、豪華な後席を備えた高級仕様があり、さらにレクサス版として同車をベースに誕生した新型「LM」も発売していますが、こうしたモデルとの違いはどこにあるのでしょう。開発に携わったメーカー担当者に話を聞きました。
トヨタは6月に高級ミニバンのアルファード/ヴェルファイア」を約8年ぶりにフルモデルチェンジしました。
新型はアルファードとしては4代目、ヴェルファイアとしては3代目モデルとなります。
「快適な移動の幸せ」を極めることをコンセプトに刷新され、後席の快適性のみならずドライバーの運転する喜びも追求し開発がすすめられました。
トヨタ車体は、トヨタとともにこの新型アルファード/ヴェルファイアの企画・開発に携わり、製造も同社が行っています。
そんなトヨタ車体がJMS2023に参考出品したのが、ヴェルファイア スペーシャスラウンジ コンセプト(以下、新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジ)です。
現在発売されている新型アルファード/ヴェルファイアは3列シート・7人乗り仕様ですが、新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジは、2列シート・4人乗りの贅沢な仕様としました。
トヨタ車体では「4席だけの大空間で快適に過ごしていただけるおもてなし装備・機能を備えた、最上級ミニバン」と説明し、ショーファー(お抱え運転手がオーナーやゲストを送迎する用途)からレジャーユースまで、幅広いニーズに対応するモデルだといいます。
新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジのリアシートは、座り心地を追求した専用設計。
スライド機構を持たない固定式で、足元は7人乗りに比べ約500mm広いスペースを確保しています。
電動リクライニング機構を持ちヘッドレスト部にスピーカーを内蔵した大きな背もたれとし、充電口やテーブルを内蔵する専用の大型アームレストなども備え、さらにカバンが置けるフロアトレイや冷蔵庫も設置しました。
またカーペットにも遮音に優れた専用のじゅうたんが施されるなど、至れり尽くせりの充実した装備となっています。
■前後席のパーティションは「あえて設けなかった」
このように、新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジが他モデルと異なる点はいくつかありますが、なかでも大きな特徴として挙げられるのが、荷室に専用のハンガーバーを装備している点です。
トヨタ車体の開発者によると、新型アルファード/ヴェルファイア開発にあたりショーファー需要のニーズを調査した際、ユーザーから教えてもらったことがヒントになったといいます。
「忙しく過ごす経営者の方々は、みなさん移動用のクルマの室内に5、6着の服を常備しています。
その内訳は、スーツに加えコートやビジネスカジュアルのジャケット、冠婚葬祭の礼服、そして工場などでの作業着が常に積まれていました」
国内のみならず、経済成長が著しい中国でも同様な事例が多く見られるといい、なかでも会社を起業したばかりの経営者は、国内外共に特に忙しく過ごしているようだとトヨタ車体の開発者は話します。
「ユーザーのイメージは、平日はショーファーカーとして、そして週末などはオーナー自らハンドルを握り、仲間とワイワイでかけたりする使い方を想定しています」
ショーファー需要という意味では、レクサス 新型LMも同様の狙いで4人乗り仕様を設定していますが、新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジでは、特にオンとオフの二面性を持たせた点が違うといいます。
新型LMでは、前席と後席の間にパーティションを設け、後席をいわば密閉した個室状態にできるのが特徴です。
しかし新型ヴェルファイア スペーシャスラウンジには、意図的にパーティションを備えてないのだと話します。
「後席でビジネスの会話をしたり、リモートで打ち合わせなどをする際には、遮音性能を持たせたカーテンをひくことで、後席のプライバシーが確保できます。
またこれは、停車中に長期の待ち時間を過ごしたり、旅先で仮眠する際にも活用できます。
一方で、仲間と連れ立ってゴルフなどに行く際にはパーティションは無いほうが前後席で一体感も得られ、むしろ都合が良いのです」
※ ※ ※
非常に完成度が高く、今すぐにでも発売できそうなヴェルファイア スペーシャスラウンジは、市販化を目標としているものの、まだコンセプトモデルの位置付けだといいます。
JMS2023来場者からの声も集めながら、改善を重ねていくと前出の開発者は話しており、そう遠くない時期に正式ラインナップに加わる日もやってくるとみられます。