いくら気をつけて運転していても、ホイールを傷つけてしまうことがあります。ホイールが傷ついてしまうとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
■ついうっかり傷つけたホイール どうすべき?
普段から気をつけて運転していても、ホイールをガリっと傷つけてしまうのはよくあること。縁石や段差などを含む障害物に当たってしまったり、路上での幅寄せなどでホイールを擦ってしまいがちです。
ホイールが傷ついてしまうと、見た目の美観を損なうのはもちろんですが、程度によってはホイールのバランスが狂ってしまい、ステアリングが取られるなどの症状に悩まされることがデメリットとして挙げられます。
では、どの程度の傷なら補修が可能なのか、または交換したほうが良いのか、埼玉県のF整備士に聞いてみました。
「現在の補修技術は進化しているので、費用さえかければ大きい傷でも補修はできると思います。
確かな技術を持った『ホイールリペア専門店』なども数多くありますし、そういった専門店であれば変形や歪みなども矯正してくれます。
しかし、1度目の傷は補修できても2度目は内部に亀裂が入るなどで補修が難しい場合もあることは覚えておいてください」
F整備士いわく、一般的には擦り傷やガリ傷程度は補修(リペア)で対応、変形や亀裂が生じてしまったような場合は交換したほうが良いとの判断でした。
「交換が必要なほどホイールが損傷してしまった場合は、クルマの足回りやボディにまで衝撃が加わっている可能性も高いです。
そうなるとホイールの交換だけで済まないケースもあり、そこまで大きい損傷の場合はプロに見てもらうことをお勧めします」(F整備士)
つまり縁石にホイールをヒットしたとしても、操作に違和感がなければ補修で対応できますが、ハンドルが取られたり、タイヤのエアーが抜けてしまうなどの症状が出ている場合は、早めにプロにお任せしたほうが良さそうです。
「またホイールだけでなく、タイヤに損傷が出ていないかも確認してください。タイヤのトレッド面はかなり強度があるのですが、サイドウォール(側面)は意外に弱く、擦れやヒビなどが入りやすいものです。
必ずしも新品に交換する必要はないかもしれませんが、損傷具合を見極めて、早めの対処が結果的に安全につながり、出費も抑えられると思います」(F整備士)
では、傷ついたホイールは自分で補修することができるのでしょうか。
「擦り傷や軽いガリ傷を目立たせなくするのであれば、傷を埋める『アルミパテ』と整形用の『耐水ペーパー(番数の違うセットがおすすめ)』、『ホイール用ペイント剤』は最低限必要です。
さらに美しく仕上げるためには、余計な汚れを落とすこと、ホイール表面についている油分を取り除く『脱脂剤』などがあればさらに良いでしょう」(F整備士)
手順としては、まず表面に付着した汚れを除去します。通常の洗車作業では落ちない汚れなどは「ホイールクリーナー」を併用すると良いそうです。
次に「脱脂剤」で表面の油分を除去。この下処理作業でパテの定着を安定させる効果が期待できます。
そしてアルミパウダー入りのエポキシ系である「アルミパテ」で傷を埋めます。このとき、少し盛り上がるように傷を埋めるのがポイントです。
「パテは乾燥後に表面が収縮します。盛り上がった部分は耐水ペーパーなどで整形できますので、少し多めに使用するのがコツです。下処理の段階でささくれてしまった部分は取り除いておくと作業が進めやすいです」(F整備士)
また、アルミパテを十分乾燥させることが重要で、生乾きではうまく整形できず、やり直す手間を考えれば半日以上は時間を置きたいところです。
「整形で耐水ペーパーを使用する場合も、1番粗い(数字が低い)番手からではなく、細かい(数字が高い)ものから使用することもポイントです。
大まかに削りたくなりますが、やり直しを減らすためにも細かいヤスリで試し、削りにくい場合は少しずつ番手を下げていくことで、削りすぎを抑えることができます」(F整備士)
ある程度表面が慣らし終わったら、次はホイール用ペイント剤を使って塗装します。市販のペイント剤の多くがスプレー式なので、タイヤやボディなどに塗布しないようにマスキングします。
「この塗装も1度で終わるのではなく、液ダレしない程度に薄い塗装を数回繰り返すことで、よりきれいな仕上がりになると思います。慌てずに丁寧な作業を心がければ、美しく補修できるでしょう」(F整備士)
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プロに補修を頼んだ場合、ホイール1本あたりおおよそ1万5000円からといった修理費用がかかります。
しかしDIYでも材料費に加えて作業時間もかかりますので、きれいに仕上げる自信がない人は、無理せずプロに補修をお願いしたほうが確実なのは言うまでもないでしょう。