高速道路の料金所を通行する際、多くのクルマがETCを利用しています。中には「ETCキセル」と呼ばれる方法で不正に通行するドライバーがいます。では、ETCキセルに対してはどのような罰則があるのでしょうか。
■「ETCキセル」って何? どんな行為が「不正通行」になる?
日頃から多くのドライバーが利用する高速道路ですが、中には「ETCキセル」と呼ばれる方法で不正に通行するドライバーがいます。
では、ETCキセルに対してはどのような罰則があるのでしょうか。
高速道路の料金所を通行する際、多くのクルマがETCを利用しています。
国土交通省が公表しているETCの利用状況によると、2023年8月にはETC利用率が全体の94.3%(約837万台/日)であり、通行するクルマのほとんどがETC車載器を搭載しているといえるでしょう。
このように広く普及しているETCですが、中には「ETCキセル」と呼ばれる方法で料金所を不正に通行するドライバーが存在します。
キセルとは一般的に「電車に乗る際に乗降駅付近だけの乗車券や定期券を持ち、途中区間をただ乗りすること」を意味し、ETCキセルはそれのクルマバージョン、つまり本来支払うべき通行料金を免れて通行する行為のことをいいます。
具体的には、「軽自動車」として登録したETC車載器を「普通車」に取り付けて使うことによって、より安い料金で通行する手口などが挙げられます。
車種やナンバーなどの情報はETCカードを差し込むETC車載器に記録されているため、本来クルマを変えたときや引っ越しにともなってナンバープレートを変更したときなどは車載器の再セットアップをおこなわなければいけません。
では、実際にこのETCキセルをした場合にはどのような罰則があるのでしょうか。
ETCキセルは道路管理者が定めた方法に従わずに通行する「不正通行」であり、道路整備特別措置法第24条第3項に違反します。そして同法第59条の規定により、30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
実際に2020年7月には、軽自動車の情報が登録されたETC車載器を普通車に設置して東名高速道路などのETCレーンを不正に通行したドライバーが静岡県警に検挙されています。
さらにこのドライバーに対しては、東名高速道路を管轄するNEXCO中日本が支払いを免れた通行料金に加えて、割増金(免れた通行料金の2倍に相当する額)を請求しました。
この割増金の請求に関してはNEXCOのみならず、首都高速や阪神高速などでも同じ対応をとっています。
また、料金所の開閉バーが閉まっているのに突破する、通行区間を偽って本来の通行料金の支払いを免れる、一般レーンで通行料金を支払わずに通行するといった行為も不正通行に当たり、前述の罰則の対象になります。
2023年6月には、前方を走るトラックと距離を詰めて料金所のETCレーンを通過し、通行料金を支払わなかった石川県在住のドライバーを神奈川県警が逮捕しています。
そのほかにも障がい者割引制度を悪用して通行料金の一部支払いを免れていたケース、ETCレーンを強行突破したケースなどが報告されています。
これらの行為に対し、道路管理者は料金所に監視カメラや不正通行対策の開閉バーを設置する、警察との連携を強化するなどして対策を講じています。
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ETC車載器を別のクルマに付け替えた後、再度セットアップをしないまま有料道路を通行して本来の支払いを免れると、「ETCキセル」に該当します。
個人では車載器の再セットアップができないため、ディーラーや自動車専門店など「ETCセットアップ店」として登録されているお店で手続きをするようにしましょう。