SNSなどでも度々、「道路の停止線」に関する話題が投稿されます。その中には場所や状況に応じて「停止線よりも手前で止まる」という声を聞きますが、どのような理由があるのでしょうか。
■なぜ停止線の手前で止まるのか?
クルマを運転していると信号のある交差点や一時停止標識のある場所などに設置される停止線。
SNSなどでも度々、停止線に関する話題が投稿されます。その中には場所や状況に応じて「停止線よりも手前で止まる」という声を聞きますが、どのような理由があるのでしょうか。
停止線の設置場所は「交通規制基準」に沿って「法令により停止する場所」として定められています。
例えば、横断歩道では「1mから5m手前」となっており、このような曖昧な表現が用いられる背景には、各交差点においてもっとも安全と判断された場所に停止線が設置されるからです。
道路ではクルマに加えて、バス、大型トラック、自転車やバイクなどの二輪車両も走行し、それに加えて歩行者なども存在することから、全員の安全を考慮した上で停止線が設けられます。
また、道路の形状や、近隣施設なども考慮されることから、定期的に停止線の設置位置が見直されることも少なくありません。
そんな停止線ですが時折、見通しの悪い交差点や道幅が狭い交差点での停止時に「停止線よりも手前で停止するべき理由」という議論がかわされます。
SNSなどでは「中途半端に距離を空けている人は何の意味があるの?」、「なんで停止線の手前で止まるクルマがいるのか」といった疑問の声が見受けられます。
それに対して「前方から来るクルマに配慮している行為だね」、「周りが見えている人は運転がうまいと思う」、「状況に応じて距離を空けているのは慣れている人」という声もありました。
基本的には前述のように設置場所に沿った場所にある停止線ですが「少し手前で停止するべき」理由には、どういった理由が考えられるのでしょうか。
首都圏の自動車教習所の担当者は、次のように話します。
「『停止線の少し手前で停止するべき理由』は、状況にもよりますが、道幅が狭かったりすると、対向の大型車両が曲がりきれなかったりなどが考えられます。
また、万が一後ろから追突された場合など、前方に余裕を持って停止していれば、さらなる事故を防ぐことにも繋がるなどが想定されます」
交差点でトラックなどの大型車両が曲がって侵入する際に、車体の長さから大きな回転半径を必要とします。
また、道幅の細い道路では、車両が曲がって侵入する時の角度が限定的になります。
では、逆に停止線よりも手前で停止するという行動は、問題ないのでしょうか。自動車安全運転センターの担当者は、次のように話します。
「停止線の手前で停止することについては、大きな問題がないとされています。
例えば、その道路には、クルマの他にバスや大型トラックなどが多く走行する傾向にある通りであったり、道路の形状によっては、停止線よりも手前で停止する方が安全というケースも想定されます。
そのような状況下の際は、ドライバー自身の判断で安全に停止、そして走行できる位置で停止することが望ましいとされています。
黄色、または赤信号が前方ではっきりと見え、後続車も前方車両が停止するであろう範囲内であれば、停止線よりも手前で停止したり、車間距離を多く取るということは問題ありません。
一方で、雪道や坂道などの極めて特殊な状況を除いて、大幅に停止線よりも手前で停止すると、後方からの追突事故に発展する恐れもあるので、注意が必要です」
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このように、特殊な状況を除いて、運転者自身の判断で、周りの安全を確保するために停止線よりも手前で停止する分には、問題がないとされています。