アメリカ・ラスベガスで2023年10月31日から11月3日まで開催された「SEMAショー2023」で、日産のレトロなコンパクトカーが出展され注目を集めていました。どういったクルマなのでしょうか。
■およそ35年前の日産車が「カッコいい」スタイルに変身!?
アメリカ・ラスベガスで2023年10月31日から11月3日まで開催された米国自動車用品工業会主催の「SEMAショー2023」にちょっと変わった日本車が出展され、来場者の注目を浴びていました。
SEMAショーといえば、主にアメリカのカーライフを代表するような様々なカスタマイズカーが出展され人気のイベントです。
日本でもなじみのあるスポーツコンパクトカーなどの出展もありますが、今回多く出展されているモデルはピックアップトラックやSUVでした。
アメリカではフォード「F150」、シボレー「シルバラード」、トヨタ「タコマ」などのピックアップトラックなどや、ジープ「ラングラー」、フォード「ブロンコ」などワイルドなSUVをさらにカッコよくカスタマイズするのが大人気です。
そのようなアメリカらしい大きくてタフなモデルのカスタマイズカーの出展が多数を占めるなか、日本でもすっかりレアな存在となっていたモデルが出展され、女性を中心に注目を浴びていました。
そのモデルとは日産「パオ」です。
1989年に登場したパオは、コンパクトカーの「マーチ」をベースとしたモデルです。
日産が1980年代から1990年代初頭にかけて相次いで登場させた「Be-1」「フィガロ」「エスカルゴ」などと並び、パイクカーと呼ばれ人気を博しました。
ちなみに名前のパオは、中国語の「包(パオ)」に由来し、モンゴルの遊牧民のゲル(組立式家屋)を意味しているとのことです。
今回SEMAショー2023会場に出展された車両は、Chris Malloyさんの1991年モデルのパオ。
比較的純正の状態を保っていますが、ヘッドライトバイザーに加え、ボディサイドの木目調デカールやラックとサーフボード、VTOアルミホイールなどのカスタマイズが施され、よりアメリカンな雰囲気を感じられる仕上がりとなっていました。
一見するとフロントフェンダーをワイド化しているようにも感じられますが、ノーマルのままだとみられます。
ノーマル車よりも絶妙に太い15インチタイヤと良くマッチしています。
左側通行で右ハンドル車が必須のイギリスでは以前より日産のパイクカー人気が高く、愛好家のクラブなどもあるようですが、アメリカでは国内の安全基準に適さないクルマ、例えば右ハンドル車の輸入を法律で禁止しており、新車やそれに近い高年式の中古車の右ハンドルモデルを走らせることは困難となっています。
ただし一方で、製造後25年以上経過したクルマであれば「クラシックカー」として輸入を認めるという特別な措置、通称「25年ルール」もアメリカでとられています。
パオは1987年発売ですから、すでに製造から35年以上経過しているためアメリカに輸入することができた、というわけです。
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SEMAショー2023会場には、様々なカスタマイズを施したモデルが出展されていますが、そのなかでパオは大幅なカスタマイズをしなくてもそのままで存在感が高いモデルであり、古さを感じさせない魅力があるデザインであると改めて感じさせられました。
世界的にこのようなクルマが長く愛されていることを考えると、先進的なデザインのモデルだけではなく、このようなレトロ感のあるパイクカーが再び登場しても良いのではないでしょうか。