クルマのウインカーを作動させると「カッチ、カッチ」と音が鳴りますが、この音は一体どのような仕組みで鳴っているのでしょう。ハンドルの奥で何か機械が動いているのでしょうか。
■ウインカーの「カチカチ音」の正体は?
クルマのウインカーを作動させると「カッチ、カッチ」と音が鳴りますが、この音は一体どのような仕組みで鳴っているのでしょうか。
ウインカーのカチカチ音の正体について「ダッシュボードの奥で機械が動く音」がそのまま聞こえているのか、それとも「あえて収録した音」をスピーカーなどから鳴らしているのか、気になったことのある人もいるでしょう。
まず基本的にはクルマのウインカーの点滅は、「ウインカーリレー(フラッシャーリレーとも呼ばれる)」という部品が制御しています。
運転手がウインカーレバーを操作すると、このウインカーリレー内のスイッチが作動。ウインカーが点灯する「オン」と、消灯する「オフ」を一定間隔で自動で切り替えることで、ウインカーが点滅する仕組みです。
このときの「ウインカーリレー内のスイッチの動作音」が、あのウインカー点滅と同時に聞こえる「カッチ、カッチ」という音の正体です。
しかし、実はこれは過去のクルマでの事例。
上記のような、ウインカーリレーを作動させることでウインカーを点滅させるタイプは「機械式」と呼ばれるもので、その歴史は古く1930年代に誕生。そして1950年代以降にこの構造が広く普及し、以降長い間この機械式ウインカーが使われてきました。
しかし、近年は機械式ではなく「電子式」のウインカーリレーを採用しているクルマや、ICチップに電子制御させることでウインカーリレー自体が不要となったクルマも珍しくありません。そしてこれらウインカーが電子式リレーやIC制御のクルマは、機械式のようなスイッチの動作音が構造上発生しないのです。
そのため、「音を出すためのユニット」を別途搭載して、そこから擬似的に機械式のスイッチ音を出しています。
機械式のウインカーの場合は、ウインカーの構造自体から出ている音なので、音を消したり変えたりすることはできませんでした。
しかし、電子式やIC制御のウインカーであれば、ウインカーの音は言わば「後付け」なので、変えることも可能。実際に、従来のカチカチ音のほかに「ピョン、ピョン」や「ピッ、ピッ」など、様々な音から選択できるクルマも登場しています。
例えばホンダ「フリード」ではウインカー音を3種類から選択できるなど、よりオーナーの好みを実現できる機能が採用されていました。
その一方で、これまで機械式ウインカーのクルマに乗ってきた人にとっては新しいウインカー音が耳慣れず、おなじみのカチカチ音に設定を戻したという声も少なからず見られます。
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このように「ウインカーのカチカチ音」の正体は、かつて機械式のウインカーリレーを搭載しているクルマから発せられていた作動音でした。
技術が進歩し、多くのクルマのウインカーが電子式やIC制御になった現在でも、鳴っているのは収録されたこの「機械式の音」というのは面白いものですね。