「こども運転席」と名付けられた仕掛けが路線バスに新たに設けられ、話題を呼んでいます。設置した新潟県のバス会社に話を聞きました。
■大人も思わず興奮な「こども運転席」とは
新潟県新潟市に本社を構えるバス会社「新潟交通」では、運行する路線バスに“おもしろい仕掛け”を施しているといい、SNSで話題を集めています。
ではどのような仕掛けが備わった路線バスなのでしょうか。
子どもにとって、“バスの運転士”は憧れる職業のひとつかもしれません。
ハンドルを握り颯爽と運転するバスの運転士を見て「一度あの運転席に座って運転してみたい!」と思ったことがある人もいるでしょう。
そんななか新潟交通は、誰でもバス運転士気分になれるという「こども運転席」と呼ばれる仕掛けを路線バスに設置しました。
座席に座ると、バスの前方カメラのリアルタイム映像がモニター画面に映し出されており、手元には本格的なハンドルも備わっています。
このほか、速度計などの計器類や、ドアの開閉など運転士が乗務中に操作するスイッチ関係、アクセルやブレーキなどで運転席に似た空間を表現しているといいます。
ではそもそも、どういった経緯で新設することになったのでしょうか。
新潟交通の広報担当者は以下のように話します。
「『運転席の後ろの席に子どもが座りたがっていたが、大人が座っていて座れず残念そうにしていた』というバス運転士からの声がきっかけでした。
すでにバスが好きな子どもたちや、これからバスに興味を持っていただくためにも、子どもたちの『特等席』を用意してみようと動き出しました。
2023年7月頃より製作を開始し、10月17日より路線バスとして運行しております」
実際の運用の様子、また子どもたちからはどのような反響が寄せられているのでしょうか。前出の担当者は以下のように話します。
「通学でバスをご利用いただいている小学生の皆さまから喜んで座っていただいていると運転士から聞いております。
一方でモニターをオフにすることはできないかというお声を頂戴していますので、モニターのオンオフのスイッチを取り付ける仕様変更を11月上旬目処に行う予定です」
こども運転席設置についてSNSでも話題を集めており、これを見た大人ユーザーから「最高すぎる!」「うちの子どもも乗せたい!」といった声のほか、「おじさんだって乗りたい」「大人でも乗りたいなあ」「大人も乗らせてください」などの要望の声も集まっていました。
大人の利用について前出の担当者は、「“こども運転席”としているので、もちろん子どもたち優先でお願いしたいのですが、子どもたちがいない状況で空席になっているようでしたら、大人の方もぜひお座りください」と話しています。
このほかSNSでは別の地域ユーザーから、「うちの地元にも導入してほしい」「素敵すぎる」「いいなあ」など、羨む声なども寄せられていました。
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最後に、今後の運用について前出の担当者は以下のように話します。
「現在は1台のみの運行で一部のエリアでの運行となっておりますので、反響が大きければ複数台導入し、多くの皆さまに体験していただけるようにできればと考えております」
今後反響が大きければ複数台の導入を検討しているとのことでした。
誰でもバスの運転士になれる“こども運転席”は、子どもたちはもちろんのこと、大人の夢も詰まった魅力的な仕掛けといえます。