未開通として残る中部横断道の「長坂~八千穂」区間が、具体化に向けて進展を見せています。今回、この区間の詳細案が公表されました。
■「長坂~八千穂」詳細ルートを公表
中部横断道で未開通として残る山梨・長野県境付近の「長坂~八千穂」区間について、国土交通省と両県は、2023年10月下旬に沿線各地で開いた住民説明会で具体的なルートやICの位置などを公表しました。どのような内容なのでしょうか。
中部横断道は、静岡市を起点とし山梨県甲斐市・北杜市を経由して長野県小諸市に至る高速道路です。
中央道を境に大きく南北2区間に分かれており、南部(新東名~中央道)の新清水JCT~双葉JCT間は2021年8月までに全線が開通。北部(中央道~上信越道)は、上信越道に接続する八千穂高原IC~佐久小諸JCT間が2018年までに開通しています。
しかし北部区間で未開通の「長坂~八千穂」約40kmは現在、事業化もされておらず、開通時期も未定です。
この区間を巡っては、2010年度から計画段階評価を進め、2015年4月に対応方針が決定。2023年7月には、国交省が山梨・長野の両県にこの区間の具体的なルートを提出していました。
「長坂~八千穂」の大まかなルートは、国道141号(現道)に並行することを前提としつつ、住宅地や集落、別荘地、農地、自然環境、整備コストに配慮したものです。
公開された資料(都市計画原案)によると、新区間は4車線・設計速度80km/hで、標準幅員は20.5m。途中、山梨県内に高根IC(仮称。以下同じ)と清里IC、長野県に野辺山IC、海ノ口IC、小海ICが設置される計画です。
道路は、中央道の長坂IC近くに新設する長坂JCT(仮称)から長野県境を目指して概ね4%、最大標高差約400mの勾配で北上していきます。
県境に近い野辺山IC付近までは上り坂が続きますが、長野県内は一転して概ね4%の勾配で下っていきます。最大標高差は約500mです。
野辺山ICの南側はS字を描きながら高低差をクリアする長いトンネルが掘られるほか、北側の野辺山高原も5km弱の長いトンネルで通過します。
今後は、両県による都市計画決定や環境影響評価(アセスメント)を経て、国が事業に着手します。開通時期については未定です。