高速道路の休日割引は、土休日の通行料金を3割引とするものですが、オーバーツーリズム(観光公害)の対策から見直しが行われるかもしれません。
■休日はホテルも飛行機も高いのに、高速だけ安い
週末に高速道路で遠出する際に適用される「休日割引」に、メスが入るかもしれません。
2023年11月10日、国土交通省社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会が開催され、高速道路の料金割引などについて、有識者間で意見交換が行われました。このときの検討議題の一つとなったのが、高速道路の休日割引です。
休日割引は、土休日に地方部の高速道路を通行すると、ETC搭載の軽自動車等・普通車を対象に通行料金を3割引とする制度です。
観光需要を喚起し、地域活性化を図ることを目的に実施されていますが、一方で、東京・名古屋・大阪などの大都市圏では毎週のように土日に渋滞が発生しています。
集中する観光需要を平準化するため、JRの特急料金、ANA・JALの航空運賃、テーマパークや宿泊施設などは休日に1割から3割ほど高い金額を設定していますが、高速道路だけが逆行している形です。
しかし現状は、2018年のお盆から休日割引の実施日をずらす試みが始まっており、その後も新型コロナ拡大防止や交通分散を目的に、ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった最繁忙期は休日割引の適用除外が続いています。
そしてこの休日割引の“見直し”をさらに後押ししそうなのが、10月18日に観光立国推進閣僚会議が決定した「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」です。
オーバーツーリズム(Overtourism)は、観光客が集中することで地元住民の生活や自然環境への悪影響、観光客自身の満足度低下が生じる状況をいい、日本語で「観光公害」と呼ばれています。
この対策パッケージの中では、観光需要の分散・平準化のため、高速道路の料金割引を見直すことが記されています。
すでに、高速道路の周遊パスなどで平日の割引率を上げるなどの取り組みが始まっていますが、今回、高速料金割引の見直しがオーバーツーリズム対策として位置付けられたことから、今後さらに、休日割引の見直しも含めて高速料金の検討が進む見込みです。