クルマには「寒冷地仕様」という仕様が存在しますが、それは通常の“普通仕様”と何が違い、寒冷地以外で「寒冷地仕様」に乗るメリット・デメリットはあるのでしょうか。
■寒冷地以外で「寒冷地仕様」に乗るメリットはある?
中古車サイトやカタログなどでクルマを見ている際、「寒冷地仕様」という記載を見掛けることがあります。
文字どおり、寒冷地での使用に適した仕様のクルマだと予想は付きますが、では実際に通常の“普通仕様”とは何が違うのでしょうか。
寒冷地仕様車とは、北海道や東北、北陸地域など、気温がマイナス10度以下になるような地域での使用に適した仕様が施されたクルマです。
実は元々オフロードでの走行に適しているような、ハードな使い方が想定される車種であれば、普通仕様と寒冷地仕様では装備にそこまで差はありません。
しかし、「街乗り」を主な目的とするようなタイプの車種の場合は、寒冷地仕様になることで中身や装備に大きくな差が生じます。
例えば、気温が低くなる地域でも問題なく動作できるよう、通常よりも大容量のバッテリーを搭載していたり、発電機であるオルタネーターの強化、ガソリンタンクの大容量化などが施されています。
また、分かりやすく普通仕様と異なる装備としては、シートヒーターを採用するほか、車内の暖房機能を強化、さらにワイパーが強靭なタイプになったり、雪道での走行を想定して駆動方式が4WDに限定されることも。
そのほか、エンジンオイルに低粘度オイルが用いられていることや、車体に防錆処理が施されていることもあります。
■寒冷地仕様車の「デメリット」とは
このように、寒冷地仕様車は基本的に、普通仕様と比べて装備が充実していたり、パーツ単体の性能も向上していると言えます。
そしてもちろん基本は同じクルマなので、当然のように寒冷地ではない地域でも問題なく走行できます。
むしろ寒冷対策が充実しているため、どのような地域であっても冬場はより安全に運転することが可能。寒い日でもすぐに車内を温められるなど、快適さもアップするのです。
また、たとえ温暖な地域に居住しているとしても、旅行などで寒冷地を訪れる際に活躍するというメリットも忘れてはいけません。
一方、寒冷地仕様車のデメリットとしては「価格」が挙げられます。
寒冷地仕様車は、寒冷地対策用の装備が追加されていたり、パーツが強化されていたりするため、中古車でも同じ車種の同年式・走行距離・カラーの普通仕様車と比較すると、おおよそ10万円から20万円ほど車両価格が高くなっています。
また、装備を充実させたことで普通仕様車よりも車重が重くなるため、相対的に燃費が悪いのもデメリットのひとつです。
このように寒冷地仕様は普通仕様と比較した場合、価格と燃費の面ではネガティブなポイントとは言えるものの、充実した装備や将来的な維持費まで差し引きすると、寒冷地仕様の方が「お得」となるケースは珍しくありません。
そのため、寒冷地域ではないものの冬になると雪が積もることもある人や、冬場にレジャーなどで寒冷地域に足を伸ばす機会が多いという人は、クルマを購入の際に寒冷地仕様も検討してみてはいかがでしょうか。