近年ではETCの利用率が9割を超えています。一方で、ETCを利用してないユーザーも存在しますが、どのような事情があるのでしょうか。
■利用率9割超えでも…なぜETCを使わない人がいるのか?
高速道路を使用する際に、近年ではETCの利用者数は90%以上というデータがあります。
1度使うと利便性の高さを実感するものですが、一方でETCを利用してないユーザーは、どのようなドライバーなのでしょうか。
ETCの正式名称は「電子料金収受システム」といい、「Electronic Toll Collection System」の頭文字をとった略称で呼ばれています。
高度道路交通システムのひとつとして、高速道路や有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムです。
2001年にサービスが日本では開始され、ETC割引や車載器購入の補助金制度などの影響もありETC利用率は急速に上がっていきました。
2023年8月時点でのETC利用率は94.3%と、高速道路を利用するほとんどの人がETCを利用しています。
さらに、より様々なサービスが受けられる「ETC2.0」の利用率は30.8%と浸透してきています。
94.3%という利用率を誇るETCですが、残りの5%強の人はETCを利用せずに高速道路を走行しているようです。
またNEXCO各社や首都圏高速道路事業者などはETCのみの出入り口を増やしています。
国土交通省は、近い将来、高速道路の料金所の有人ブースを廃止する方針を2020年7月に示しました。
また首都高速は2022年3月から、阪神高速も同年5月からETC専用料金所の運用を相次いでスタートさせています。
これは、「料金収受員の人員確保が困難」、「混雑の緩和」や「将来的な管理コストの削減」などを目的としたものとされています。
そうした中で、主にETCを利用していない理由として挙げられるのは、「高速道路を滅多に使わない」、「手続きが面倒」、そしてETCカードはクレジットカードに紐付けられますがその「クレジットカードを持っていない」などの理由が挙げられます。
このような状況以外で、ETCカードを使用しないユーザーは、そもそも一般的なカードを作れない状況にいるケースもあるようです。
クレジットカード会社の担当者は、この特殊な状況について、次のように話します。
「ETCカードは、クレジットカード付帯のものがほとんどです。
過去に金融事故などが発生している場合は、新規でクレジットカードが作れない状況になってしまうので、結果的にETCカードも作れないことになります。
クレジットカードの会社やシステムによっても異なりますが、カードの利用停止を受けてしまうと、ETCカードも止められてしまいます。
クルマでの移動が多い人などは、金融事故が発生しないよう、返済時期などをご留意いただければと思います」
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なおレンタカーなどで高速道路や有料道路を使用したいと考えている場合には、レンタカー業者によるもののレンタカーとETCカードをセットで借りることが可能です。
また基本的にクレジットカードが無いと作れないETCカードですが、デポジット(保証金)制の「ETCパーソナルカード」というものがあります。
これはクレジットカードを持っていないユーザーでもETCが使える有料道路の通行料金の支払いに限定されたカードです。
NEXCO(東日本/中日本/西日本)、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社の6社が共同して発行しています。
申込みは、あらかじめ保証金(デポジット)を預託していただけることが主な条件となり、カード1枚につき1257円の年会費がかかります。