光岡自動車は2023年11月16日、創業55周年を記念するモデル「M55コンセプト」を初公開しました。同車は一体どのようなモデルで、過去のどんな車種をモチーフとしているのでしょうか。
■夢や希望に満ち溢れた「1970年代」デザインを完全再現！
光岡自動車（以下、ミツオカ）は2023年11月16日、創業55周年を記念するモデルとして「M55コンセプト（以下、M55）」を初公開しました。
また同時にM55の特設ページも立ち上げ、同車を製作した経緯と今後の展望についての熱い想いを掲載しています。
ミツオカは1968年に創業。自動車ディーラーを営むとともに個性的なデザインのクルマを製造し、全国に根強いファンを獲得しています。
今回発表されたM55は、先述の通り同社の創業55周年記念するモデルで、あくまでもコンセプトカーのため現在のところ市販化予定は無いとしています。
同車は誕生から55年歩み続けたミツオカと同じ「同世代の方々」をメインターゲットに据え、感受性豊かな幼少期を過ごした「1970年代」の感覚を呼び起こすべく、夢や希望に満ち溢れた当時のマインドをデザインに表現したといいます。
そのスタイリングはまさにレトロな旧車そのもので、かつ現代のクルマには存在しないパワフルなオーラを感じさせるもの。
力強く先を見据えた丸目のヘッドライトや、リアウインドウに装着されたルーバーは、自信に溢れ、迷いなく未来を目指した70年代当時の雰囲気を再現しています。
また室内空間を覗き込めば、シートには当時のレーシングカーを彷彿とさせるハトメ加工も施されており、旧車テイストに定評のあるミツオカならではのセンスの良さが感じられます。
それでいてボディタイプは「ハッチバック」のため、4枚のドアを備え5人が乗車できるという意外な実用性の高さも備えているようです。
■モチーフは「あのクルマ」!? 市販化の可能性は？
このように70年代を思わせるレトロな雰囲気が満点のM55ですが、このデザインは過去に存在したどのクルマをモチーフとしているのでしょうか。
M55の個性とも言える「スラントノーズ」や「丸目4灯」、さらにグリル内にヘッドライトが収まったような横長のフロントフェイスを見ると、比較的近年のモデルとしてはアメリカのマッスルカーであるダッジ「チャレンジャー」が思い当たります。
奇遇なことに同車も、かつてアメリカが輝かしかった時代を彷彿とさせるべく、1970年に誕生した初代チャレンジャーをモチーフにリバイバルデザインを採用したモデルでした。
また、チャレンジャーのライバルであるフォード「マスタング」やシボレー「カマロ」なども同様に、近年アメリカの各メーカーでは1960年代から70年代のイメージを復刻させたレトロなデザインを採用したモデルを多く輩出しており（フォードはこのデザイン戦略を「リビング・レジェンド（蘇る伝説）」と呼称）、これらに動きもM55に何かしらのインスピレーションを与えた可能性はありそうです。
また、M55のレトロでありながらも“ワイドすぎない車幅”など比較的コンパクトなボディサイズは日本的にも映り、なかでもフロント周りのデザインなどは1972年に発売された日産「スカイライン」の4代目モデルである通称「ケンメリ」を想起させます。
実際に、ミツオカはM55の特設ページで日本の70年代について以下のように語っています。
「アメリカナイズドされた日本のアイデンティティはクルマのデザインにも影響を及ぼす。高度経済成長下、自動車の性能は向上し、GT系のクルマが登場した。」
まさに70年代前後に多数登場した、当時世界の最先端であった「アメ車」のデザインに大きく影響を受けた「国産GTカー」のイメージをまとめ上げ、M55のデザインに落とし込んだと読み取ることもできるでしょう。
これまでミツオカがラインナップしてきたクルマは、「車体から完全にオリジナル製造したモデル」と「他メーカーの車種をベースに大幅に内外装を変更したモデル」に分けられ、今回発表されたM55はコンセプトカーでありながら製造方法は後者のタイプに該当します。
さらにドア周りのディテールや内装から、ベース車にホンダ「シビック」を使用しつつ、外観を個性的なレトロデザインに作り変えたモデルだと予想できます。
つまり、完全にゼロから製造したモデル（「オロチ」など）と比較するならば、M55はまだ市販化へのハードルは低く、販売を望み購入を希望する声が高まるならば、ミツオカが台数限定などの方法で量産化に踏み出す可能性は皆無とは言えないのでしょうか。
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現在、ミツオカは特設ページ内に設置したフォームにて、同社やM55に対する応援コメントを受け付けています。
M55のデザインに惚れ込み、「我こそはオーナーに相応しい！」と強く思う人は、このクルマを創り上げたミツオカの熱意に負けない“熱い想い”をフォームから届けてみてはいかがでしょうか。
きっとその想いはミツオカに届き、やがて願いは実現するかもしれません。