「シートヒーター」は寒い冬場に役立つ機能ですが、使用することで燃費には一体どんな影響があるのでしょうか。
■「シートヒーター」は燃費にどう影響する?
スイッチを入れると即座にクルマの座席を暖めてくれる「シートヒーター」は、寒い冬季にとても役立つ機能です。
そんな便利なシートヒーターですが、使用すると燃費には一体どんな影響があるのでしょうか。
通常の暖房機能である「エアコン」と同じようにガソリンを多めに消費したり、電気自動車(EV)ならば走行可能距離が減ったりするのでしょうか。
先述したように、シートヒーターの魅力のひとつが「スイッチを入れてから暖かくなるまでの時間が短い」という点で、エアコンが効き始めるまではヒートシーターで寒さをしのぐという人も多いでしょう。
この反応の早さは、シート内部に埋め込まれている“電熱線”を発熱させることで直接座席を暖かくするという構造に由来するものですが、その発熱にはバッテリーに蓄えられている電気を使用します。
シートヒーターの消費する電力がどれほどのものなのか、そしてEVの場合の影響についてもディーラーの販売員に聞いたところ、以下のような回答がありました。
「ヒーターシーターは使用電力が少ない機能なので、燃費に対する影響はさほど無いと言えるでしょう。
また、走行そのものに電気を使用するEVの場合も同様で、極端に走行可能距離が短くなることはありません。
具体的な数値はシートヒーターを使う頻度に左右されるため挙げるのは難しいところですが、もし常にシートヒーターをONにし続けたとして、全く使わない時期と比較すれば1割弱ほど走行可能距離が短くなるレベルと考えていれば大丈夫です。
そもそも、実は冬場に燃費が悪化する原因はエアコンの使用によるものばかりではありません。気温が低いためエンジンを温めるのに余計なガソリン使う必要があったり、発電に余計にパワーが必要になるなど、暖房とは別の理由が多く挙げられます(ディーラーの販売員)」
つまり、冬は気温が低くなりエンジンやバッテリーの温度も低くなるので、この状態からクルマを作動させるには、それだけ大きなパワーが必要となり、他の季節よりもガソリンや電気を使うことになるのです。
また、車内が温かくなるまで待つためアイドリング状態が長くなるのも、冬に燃費が悪化するポイントで、“通常時と比べると2~3割ほど燃費は悪くなる”と先述の販売員は言います。
しかしこれを聞いて、「空調機能の暖房はエンジンの排熱を利用するから燃費は悪化しないのでは?」と思った人もいるかもしれません。
たしかに、一般的なカーエアコンはエンジンの熱を暖房に利用します。しかしコンプレッサーを作動させないと「除湿機能」が働かないので、窓が曇りやすくなります。
その曇りを防ぐために、冬でもACスイッチ(コンプレッサーを作動させるスイッチ)を入れるタイミングは意外と多いので、実は冬の暖房でも思った以上にガソリンを使っているのです。
※ ※ ※
先述の販売員に「冬場の燃費の低下をできるだけ抑える方法」についても聞きました。
「走り始めは燃費への影響が少ないシートヒーターを使い、エンジンが暖まった頃にエアコンに切り替えると、快適さを保ちつつ燃費効率も良くなります。
また、ACスイッチを入れっぱなしにせず、窓が曇ってきたと感じたタイミングでスイッチを入れ、曇りが解消したら再びOFFにするようにすれば、安全を確保しながら可能な限りガソリンの使用量を抑えることができるでしょう(ディーラーの販売員)」
気温が寒くかつガソリン価格が高い昨今、できるだけ燃費を抑えるためにも、このようにシートヒーターをうまく活用してはいかがでしょうか。