交差点で左左折をした先が2車線以上ある場合、手前ではなく奥の車線へ移ってしまうのは危ない行為です。何がいけないのでしょうか。
■2車線以上ある道路へ曲がった時「どの車線に入る」が正解!?
交差点で左折した先が2車線以上ある場合、手前(第一通行帯)ではなく奥の車線(第二通行帯)へ移ってしまうクルマを時折見かけます。
実は「違反」とまではならないものの、法律で「やってはいけない」とされている行為です。
クルマを運転する際は、道路交通法などで規定されている明確な交通ルールのほか、ドライバーが守るべきマナーにも沿って運転をする必要があります。
通行する人や車両がマナーとルールを守ることで、安全で円滑な交通が形成されるわけですが、今回取り上げる「左折したタイミングで右車線に入ってはダメ」も、ドライバーが守るべきマナーのひとつです。
左折時の通行については、道路交通法第34条第1項において、次のように明記されています。
「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」
できる限り道路の左側端によって、できる限り左側端に沿って徐行しなければならないのです。
左折先が2車線以上ある場合に、左折のタイミングで右寄りの車線に入ることは「できる限り」やってはいけないこと。
あくまでも「できる限り」ですので、もし右寄りの車線に入ったとしてもルール違反ではないものの「マナー違反」ではあります。
左折車が左折先の右レーンに入ると、対向車線の右折待ち車にとっては視界を大きく遮られるばかりか、対向右折車が進むタイミングを逃しかねない行為でもあります。
また、左レーンに入るものだと思っていた左折車が右レーンに進入してくることで、対向する右折待ちのクルマが接触してしまう可能性もあります。
対向車線の右折待ちのクルマにとっても、左折車が左折後すぐに右レーンへ進入することは、危険かつ迷惑なマナー違反なのです。
■右折後の車線も同様に注意が必要!
右折のタイミングで左レーンに入ることについても、同様です。
道路交通法34条の2項において、次のように定義づけられています。
「自動車(略)は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(略)を徐行しなければならない」
やはり2レーン以上ある場合には、右車線に入るのが自然といえます。
右折についてはほかにも、交差点中心至近の内側に寄らずに、ショートカットして右折する「早回り右折」や、あらかじめ道路の中央に寄らずに左のほうから大きく回って右折する「大回り右折」なども見られます。
違反にはならないものの、危険で迷惑なマナー違反です。
交差点を曲がった先でどちらかの車線に入っておきたい場合は、まずは安全に右左折したあと、落ち着いてレーンチェンジをするようにしたいものです。
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交差点付近は、特に交通事故が発生しやすい場所です。
内閣府が発表した2023年交通安全白書によると、2022年に発生した道路形状別交通死亡事故発生件数全2550件のうち、約半数の47.1%、1201件が交差点内もしくは交差点付近で発生したものだったそう。
事故が発生しやすい交差点では、より一層ルールとマナーを徹底して安全に通行したいものです。