現在の新車では見られなくなりましたが、一昔前のクルマには「三角窓」という装備がサイドウインドウの前に取り付けられていました。一体どのような機能の装備だったのでしょうか。
■便利だった「三角窓」なぜ消滅した
1970年代以前など一昔前に製造されたクルマには、「三角窓」というパーツがサイドウインドウの前に装備されていました。
現在新車で販売されているモデルには存在しない装備のため「見たことがない」という人も多いこの三角窓ですが、一体どのような機能だったのでしょうか。
三角窓とはその名の通り、Aピラーとサイドウインドウの間に取り付けられている「三角形の窓」ですが、近年のクルマに見られる「はめ殺しタイプの窓」とは構造が異なり、中心を軸に半回転する仕組みとなっていました。
そして三角窓を前方が外向きになるように開けると、窓に当たった風がドライバーに向かって吹き込むため、サイドウインドウを開けるよりも効果的に車内に風を取り込むことが可能でした。
つまり三角窓とは車内の「換気」や「冷却」を行うためのもの。
名車とされる日本車「スバル360」や、「ハコスカ」の愛称で知られる3代目「スカイライン」など数多くのクルマにも開閉式の三角窓が装備されていましたが、これは当時のクルマの多くには「エアコン」は装着されておらず、また換気機能も十分でなかったため、この三角窓を利用して「換気」や「冷却」を行っていたのです。
このように使い勝手が良く、かつエネルギーも使用せず車内を快適にできる機能として、かつては「定番装備」のひとつだった三角窓ですが、1960年代に入りクルマの送風・換気機能が進化。1967年発売の「トヨペット クラウン」(2代目)には、国産車として初めてカーエアコンが搭載されます。
とは言え、当時のエアコンはまだまだ高級車用のオプションという扱いでしたが、1970年代に入るとより一般的な装備として普及し、それに反比例するように三角窓を備えたクルマが減少。
それでも1982年発売の初代「パジェロ」など、需要が減ってからも三角窓を装備するクルマは存在したものの、1990年代にもなると開閉機能を持った三角窓はほとんど見られなくなりました。
その要因としては「気温上昇によって三角窓では暑さがしのげなくなった」や「外気と共に排気ガスも取り込むことに対する抵抗感」、また「安全のためにできるだけ車内外の突起をなくす」というメーカーの考え方の変化も、三角窓が減った一因かもしれません。
余談ですが、人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のとあるエピソードでは、旧車を知るキャラクターが新車を購入しようとした際に、「三角窓が固くて開かない」と困惑したシーンがあります。
かつての三角窓に慣れ親しんだ世代はこの言葉に共感してしまうのではないでしょうか。
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このように現行モデルでは見ることがなくなった開閉式の三角窓ですが、その使い勝手の良さを知るドライバーからは、「復活させてほしい」という声も時々聞かれます。
もしも特別仕様車や限定車などの専用装備として三角窓が用意すれば、旧車ファンから注目を集めるかもしれませんね。