自動車メーカーとの関わりが深いワークスチューニングメーカーが一同に会する「ワークスチューニンググループ合同試乗会」。ライターの小鮒康一さんが各ワークスチューニングカーに試乗した模様をお届けします。今回は、ホンダ車のカスタムパーツなどを開発・製造する無限(M-TEC)が手掛けた車両を紹介していきます。
■スポーティさを高めたZR-V無限パーツ装着車
毎年恒例となっているワークスチューニンググループ合同試乗会が、モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)を会場に開催されました。これは自動車メーカーとの関わりが深いワークスチューニングメーカーが一堂に会するもので、今回は無限、TRD、NISMO、STIの4メーカーが参加しました。
自動車メーカーとの関係性が深いだけあり、発売直後のモデルに対応するアイテムをいち早くリリースできるだけでなく、老若男女が乗ることを想定して自動車メーカーがあえてマイルドな特性としていた部分や、コストの関係で手を入れられなかった部分など、コアな部分をフォローしてくれているのもワークスチューニングメーカーならではと言えるでしょう。
今回は、ホンダ車のカスタムパーツなどを開発・製造する無限(M-TEC)が手掛けた車両を紹介していきます。
ホンダワークスとして長い歴史を誇る無限は、2023年7月に発売して以来、好調な販売を続けているクロスオーバーSUVのZR-Vと、10月に発売したばかりの新型N-BOX/N-BOXカスタムの3台を用意しました。
ZR-Vには無限らしいスポーティさを高めるこだわりを込めたフロント、サイド、リアのスポイラーが装着されており、テールゲート上部にはガーニーフラップが装着されていますが、これはエアロパーツを装着した状態での前後バランスを考え、ダウンフォースを発生させることでリアの接地感を向上させるものとなっているとのことです。
また今回の車両には純正と比較して1インチアップとなる19インチの「MDC」ホイールや、4本出しのスタイルがスポーティなスポーツエキゾーストシステム(Zグレードのガソリン車およびハイブリッド車用)、パフォーマンスダンパーなどの機能パーツも装着されていました。
試乗は大雨の中のサーキットコースで、クロスオーバーSUVであるためそこまで期待せずにコースインしたのですが、いい意味で期待を裏切られる結果に。
元々走りの質感やポテンシャルの高さが評価されているZR-Vではありますが、ところどころコースに川が流れるほどの悪天候の中でも非常に安定した走りを見せ、コーナリング中もステアリングを切ったらそのまま修正も不要という正確なハンドリングを見せてくれました。
これは走行時に車体へ発生する振動を吸収し、不快な微振動や走行ノイズを低減することによって快適性と操縦安定性を向上させるパフォーマンスダンパーが効いていると思われ、前後セットで14万3000円(税込み)という価格ながら、マストで装着したいアイテムのひとつと言えるでしょう。
■ほかのN-BOXと差別化を図りたいと考えるユーザーに最適な新型N-BOX無限パーツ装着車
続いては新型が登場したばかりのN-BOX/N-BOXカスタムの無限パーツ装着車をチェック。新型はフロントバンパーの下部の形状が標準車とカスタムで同じだったということで、フロント用はロアスポイラーとアンダースポイラーの2種類を用意(今回は標準車にロアスポイラー、カスタムにアンダースポイラーを装着)。
さらにサイドスポイラーやグリルガーニッシュ、カスタム専用のリアアンダースポイラー、テールゲートスポイラーロアガーニッシュに、デカール類など、幅広いアイテムを用意したほか、MDYアルミホイールは新色の「ブラッククリアミラーフェイス」を追加しています。
日本で一番売れている車種だけに、ほかのN-BOXと差別化を図りたいと考えるユーザーも少なくないため、どれかひとつのアイテムをチョイスするだけでも変わったことが一目でわかるようなデザインとなっており、装着車の印象はノーマルとは大きく変わるものとなっていました。
またN-BOXカスタムには、ZR-Vにも装着されていたパフォーマンスダンパーの試作品が装着されており、サーキット内の周遊路で乗ってみたところ、明らかにフロアに伝わる微振動が低減され、ハンドリングが良好になっていることが感じ取れました。
もともと新型となって乗り心地が大きく向上したことが評価されているN-BOXではありますが、パフォーマンスダンパーを装着することでその長所がさらに伸ばされている印象で、予定されている2023年度中の発売が待ち遠しい逸品となっています。