「ジャパンモビリティショー2023」で世界初公開された新型ロータリースポーツカー「アイコニックSP」に対し、「次期RX-9がついに現れた!」とマツダファンの間で大いに盛り上がりましたが、実はその“RX-9”とは、過去にマツダで使われていた車名だったことは意外と知られていません。
■JMS2023で初公開の「アイコニックSP」に「ついに次期RX-9登場」か!?
マツダは2023年10月28日から11月5日まで開催された「ジャパンモビリティショー2023(JMS2023)」で、新型ロータリースポーツカー「アイコニックSP」を参考出品。これまでファンの間で次期「RX-9」と期待も高かったモデルがついに姿を現したことで話題を呼びました。
しかし実は45年以上前、既にマツダではRX-9というモデルが存在していました。そんな幻のロータリー車に対し、SNS上などでは様々な意見が集まっていました。
ロータリーエンジンは、1957年にドイツのヴァンケル社が開発し、夢のエンジンとしてさまざまな自動車メーカーが注目しました。
各社が苦戦を強いられるなか、乗用車向けとしてはマツダのみが量産化に成功し、1967年登場の「コスモスポーツ」に初搭載。
その後もマツダの各モデルに積まれ、マツダが目指すロータリーエンジンの拡大施策「ロータリゼーション(造語)」を推進するなど、マツダの象徴とも言える存在となっています。
しかし2012年に「RX-8」の生産を終了し、ロータリーエンジンの歴史は一度途絶えました。
2015年の東京モーターショーにはロータリーエンジン搭載のクーペコンセプト「RX-VISION」が展示され、次期RX-9の発売に期待が高まっていましたが、2023年9月には、新開発の1ローターRE「8C」型を発電用に用いたプラグインハイブリッド車「マツダMX-30ロータリーEV」がデビュー。
さらにJMS2023に前述のアイコニックSPが登場し、美しくも現実味のあるスタイリングや、MX-30ロータリーEVの発展形である2ローターEVという仕様などと相まって「ついに次期RX-9が実現か」と、再び多くのマツダファンが盛り上がりをみせています。
しかしマツダは“RX-9”という車名を、既に市販モデルに採用していたという事実については、意外と知られていません。
しかも登場は1977年と、今から45年以上も前の話です。さらに、このRX-9は“スポーツカー”ではなく、“セダン”だったのですから驚きです。
そのセダンの名は、「ルーチェ」。1966年から5世代が販売されたマツダのフラッグシップモデルです。
RX-9は海外向け専用の車名で、日本での3代目ルーチェ(1977年から1988年まで発売)、海外での2代目「929」のロータリーエンジン搭載モデルとして生まれました。
573cc×2の「12A」と、654cc×2「13B」型の両方を用意し、日本仕様の最高出力はそれぞれ125psと135ps。
上下に矩形ライトを重ねた特徴的なマスクや重厚なスタイルが特徴で、国内では当初は「ルーチェ・レガート」と名乗っていましたが、1979年のマイナーチェンジで横長グリルに変更され、車名もルーチェに戻っています。
その次の4代目ルーチェ/3代目929からはロータリーエンジン搭載車が廃止され、海外でのRX-9の名称も1世代限りで消えてしまいました。
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この幻のロータリーモデルRX-9に対し、SNSなどでは多くの声が寄せられています。
若い世代と思われるコメントでは「ルーチェ、イカツくてカッコいい」「ナニコレ見たことない」「知らなかった」と、新鮮な驚きの声が多く見られました。
一方で「そういえばあったなあルーチェ」「懐かしい“広島ベンツ”!」というコメントもあり、世代によって受け取り方は随分と異なるようです。
また、マツダがJMS2023に出展したロータリーエンジン搭載のスポーツカーコンセプトに対し「このところマツダはSUV(のニューモデル)ばかりだからそろそろスポーツカーが欲しい」「わくわくしますね」「アイコニックSP早く出てこないかな」と期待を寄せるコメントも多く見られます。
果たして次世代ロータリースポーツカーがRX-9を名乗るのかどうかは不明ですが、新たにアイコニックSPが姿を現したことから、世間の期待度は大きく高まっているようです。