9年ぶりに国内に登場したトヨタ「ランドクルーザー“70”」は、どのようなモデルなのでしょうか。
■40年間変わらぬ「質実剛健さ」を継承
トヨタは2023年11月29日、本格四輪駆動車「ランドクルーザー“70”」(以下ランクル70)を発売しました。
ランクル70は1984年から販売が続くモデルで、国内での販売の再開は約9年ぶり、2度目の復活となりました。
1951年に源流となる「トヨタ BJ型」に端を発した「ランドクルーザー」(ランクル)シリーズは、2023年9月までに約170の国と地域で累計1130万台を販売した、四輪駆動車を代表するモデルです。
このうち、6世代目となるランクル70は1984年にデビューしました。
当初は実用的な「バン」のみのラインナップでしたが、翌年から「ワゴン」が登場。
当時のアウトドアブームの流れに乗り、ファッショナブルなデザインを採用したワゴンは人気を博し、「ランドクルーザー プラド」(プラド)としてシリーズの中核をなすモデルへと成長しました。
一方で、バンシリーズは豪華さやファッション性といった要素を廃し、ランクル本来が持つ機能性や堅牢性に重きをおいた質実剛健な「ヘビーデューティー」モデルのポジションを獲得。
日本では2004年に販売終了したものの世界各国では度重なる改良が行われ、高級志向の「ランドクルーザー」、ライトなプラドとは異なる立ち位置で、継続して生産されていました。
2014年、ランクル70がデビュー30周年を迎えたことや、ランクルファンから熱い要望があったことで、1年限りの再販が実現。4ドアバンに加え、国内では初めてピックアップトラックタイプが設定されました。
そして今回、9年ぶりにランクル70が国内にも復活。再再販されることが発表されました。
新型ランクル70は、4ドアワゴンの乗用車(3ナンバー車)のみの設定です。
パワートレインは新たに2.8リッターディーゼルターボエンジン+6速ATを採用。それ以外の基本構造であるラダーフレームシャシーやパートタイム4WDはキャリーオーバーされた形になりました。
悪路走破性においては、ビークルスタビリティコントロール(VSC)やアクティブトラクションコントロール(A-TRC)、ヒルスタートアシストコントロール(HAC)、ダウンヒルアシストコントロール(DAC)を装備したほか、電動デフロックを採用するなど、オフロード性能はさらに高められています。
デザイン面では、フロントフェイスやテールの一部が変更されたのみで、ボディの大部分はこれまでのランクル70のスタイルを踏襲しました。
インテリアも機能性とシンプルさを追求。インパネは先進運転支援システムの搭載に伴い、一部のスイッチなどが追加されましたが、実用的な姿は変わりありません。
先進運転機能では最新の「トヨタ セーフティ センス」を採用。衝突被害軽減ブレーキやオートハイビーム、車線逸脱警報などが搭載されました。
なお、レーダークルーズコントロールや誤発進抑制機能、先読みアシストを行う「プロアクティブドライビングアシスト」などの機能は採用されず、最小限の装備にとどまっています。
メーカーオプションは設定されず、ボディカラーもベージュ、ホワイト、ブラックの3色のみ。ラインナップも絞られ、「AX」の1グレードのみとなっており、価格(消費税込)は480万円です。
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ランクルシリーズは2021年に登場したフラッグシップモデル「ランドクルーザー300」、今回のランクル70に加え、これまでのプラドに代わる新モデル「ランドクルーザー250」が2024年に登場。
すべてのモデルが全面刷新を迎えることになり、新時代のランクルシリーズが幕を開けようとしています。