クルマを運転する前にシートポジションを合わせることに加えて「サイドミラー(ドアミラー)」を自分のあった位置に合わせます。最適な調整方法はあるのでしょうか。
■サイドミラー(ドアミラー)の役割と正しい使い方
クルマには必ずドアミラー(サイドミラー)が設置されており、安全に運転するためには必要不可欠な存在です。
正しく使用することで、安全運転にもつながるサイドミラーですが、死角などを生まないための正しい調節方法はあるのでしょうか。
サイドミラーは、道路運送車両の保安基準第44条で装備が義務付けられています。必ず装備しなければならないサイドミラーは、どのような役割を持ち、どのような状況で使用すると良いのでしょうか。
サイドミラーの役割とは運転席から見えない死角を補うことを目的にしており、死角内にいる歩行者やクルマを見落とさないために設置されています。
例えば、車線変更や追い越しを行う際に、左側の車線から右側の車線に入る際などに、右側の道路に接近するクルマの有無を右側のサイドミラーを使用して確認する際に使用すると、後方の状況が把握できます。
また、車庫入れや駐車時の安全確認では、左右のサイドミラーで後方を確認しながら、クルマと左右の距離や後輪の位置を確認できるため、安全性が高まります。
このように、サイドミラーは運転席から見えない死角の部分を補うために設置されており、左右を確認する際には欠かせません。
では、実際に運転席に座っている際の死角は、どれくらいの範囲があるのでしょうか。
教習所では車の死角に関する授業が行われており、乗っているクルマや運転手の体格で違いがあるものの、死角が発生します。
運転席から見えない死角の長さは前方が約4mから5m、車体左側が約4mから5m、車体右側が約1mから2m、後方は約7mから8mです。
運転手の死角を補うために、ドライバーにはサイドミラーやルームミラーなどでの確認に加えて、目視を用いて安全を確認します。
特にサイドミラーと目視を駆使して走行しなければならない場面の1つが、交差点の左折時です。
左折で事故が起こりやすいポイントの1つは、クルマと並走するバイクや自転車がサイドミラーには映りません。
そのため運転手は、バイクや自転車などがいないと判断してカーブを始めた際に巻き込み事故が発生する可能性が挙げられます。
巻き込み事故を未然に防ぐためには、運転手がサイドミラーと目視で確認して、安全を確認した上で操作を開始しなければいけません。
このような状況下では、ルームミラーで確認して指示器で合図を行った後に、サイドミラーや目視で安全確認をします。
そして予め十分に減速して、左側に寄って走行して曲がる寸前に左側にバイクなどがいないか目視して確認します。全ての安全が確認できた後に、左折を開始するという流れです。
こうすることで運転席からの死角をミラーと目視で補えるため、安全に運転ができます。
■サイドミラーの正しい調整方法をプロに聞いてみた!
正しく安全確認を行うためにミラーを活用しますが、運転席から正しく視認できる角度でサイドミラーを合わせなければいけません。
そんなサイドミラーですが、どのように調整するのが良いとされているのでしょうか。関東圏の自動車教習所の教官は、次のように話します。
「こちらの教習所では、サイドミラーの調整方法は、各々の1番見やすいポイントを覚えておくように指導しています。
一般的な目安としては、左右ともに自分のクルマが約1/4ほど写っていて、残りが後方の道路。地面と空の割合は半々程度と言われており、そちらを推奨しています。
しかしそれらの位置に合わせていても、シートの高さや角度によって見え方が変わってしまうので、ドライバーごとに見やすい位置をしっかりと記憶して、調整できるようにすることが大切です」
サイドミラーは運転手の体格で見え方に大きく違いがあるため、乗車時には必ずミラーの角度を確認してから発進するように注意が必要です。
また、サイドミラーを合わせる前に、シートの位置の調節が必要です。
シートの位置を変更する前にミラーを合わせても見える角度が変わるため、意味がありません。
シートの合わせ方は、AT車はブレーキペダルをいっぱい踏んだ時、MT車はクラッチペダルを踏んだ時に余裕があるように合わせます。
また、ハンドルは握った際、わずかに肘が曲がる程度で調節することが望ましいとされています。
シートの調節が完了したら、サイドミラーの調節です。ミラーの内側約1/4は、自車が映るように合わせます。
ミラーの外側約3/4は、上部の約1/3を空が映るように、下部のうち約2/3ほどが地平線より下の道路が映るようにします。
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サイドミラーは運転手の死角にあるクルマやバイク、自転車を発見できるため、巻き込み事故や車庫入れなど幅広く安全確認ができます。
運転時にはサイドミラーを正しく調節して、必要に応じてサイドミラーと目視で確認を行って安全運転してください。