高速道路を使い長距離ドライブする際、淡々と走っていると思いもよらぬ事故に遭遇することがあるといいます。高速走行時のリスクについて紹介します。
■停まっているクルマに吸い寄せられる現象!?
帰省や旅行などで長距離移動する機会が増える年末年始は、高速道路で長距離ドライブする機会も増えます。
高速道路は似たような景色が淡々と続くことから、思わぬ事故を起こすリスクがあるといいます。
高速道路は道路環境が整っている分、似たような景色が淡々と続く傾向にあります。
そのためドライバーが(現実とは違うことを)錯覚してしまう現象が起こりやすいといいます。
なかには、路肩に停車中のクルマを走行中だと「錯覚」してしまう事例もあるそうです。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
全国の高速道路を管轄するNEXCO各社によると、近年は、車両トラブルや道路工事などのために路肩に停車中の車両に、後方から走行してきたクルマが衝突する事故が多発していると警鐘を鳴らしています。
脇見運転なども考えられますが、路肩に停車中のクルマを走行中だと錯覚し突っ込んでしまった、ということもあるといいます。
その原因のひとつとして考えられるのが「仮現現象」です。
仮現現象とは、実際には動いていないものが動いて見える現象のこと。
踏切の警報機が代表的な事例で、左右に付けられた信号が交互に光ることで警報していますが、ぼーっと眺めていると、光が左右に動いているようにみえてくることがあります。
クルマのシーケンシャルウインカー(流れるウインカー)も、この仮現現象を利用したものです。
路肩に停車中のクルマがハザードランプを点灯させていると、ハザードランプの「チッカチッカ」という点滅がこの仮現現象を誘発してしまい、そのクルマが動いていると錯覚。その結果ブレーキや回避が遅れ、追突してしまうのです。
それでも、走行車線を守って走っていれば、路肩に停車中のクルマに(かすめることはあったとしても)真後ろから衝突することは避けられそうな気がします。
しかし事故事例の中には、あたかも吸い寄せられるように、路肩に停車中のクルマの真後ろに衝突してしまっている事例も少なくないとのこと。
■衝突は複数の要因が絡んでいた!
この原因として考えられるのは、意識があるにもかかわらず、正常な判断ができなくなってしまう「半覚醒現象」です。
高速道路はハンドル操作もそれほど必要なく、景色が単調で刺激もないことから、眠っていなくても脳が休んでしまい、判断能力が鈍ってしまった結果、路肩に停車中のクルマを先行車両だと勘違いして車線を逸脱し、追突してしまうのです。
高速道路ではまた、睡眠や疲労がなくても、判断力や注意力が低下し、意識が遠のいてしまう「高速催眠現象」とよばれる現象も発生しやすいとNEXCO各社は分析します。
特に夜間の高速道路となると、昼間と比べて視界から入る情報が極端に減ることによって陥りやすくなります。
こうした衝突事故を予防するため、西日本高速道路では、「USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)」という装置を試験的に導入しています。
ウルトラソニックインパクトとは、走行中のクルマへ超指向性のスピーカーで超音波を発射し、居眠りや漫然運転の防止、注意喚起を促す世界初の技術とのこと。
超音波が車体に当たると、車内に「ピロリン」といった電子音が発生する仕組みです。
人には聞こえない高い周波数(約20kHz以上)の超音波ですので、仮に道路上に立っていても音は聞こえません。
道路工事や落とし物改修など、高速道路上で作業をする場合に、作業員の安全を守る方策として、期待されています。
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こうした現象に陥ることを防ぐには、やはりドライバーがこまめな休憩をとることが大切です。
高速道路での事故は大事故に繋がりやすく、過信は禁物です。
先を急がず十分に休憩をとりながら、安全運転を心がけましょう。