ホンダは「N-VAN」のBEVモデルを市場投入する予定です。物流を担う「軽商用バン」ですが、電気自動車というのはアリなのでしょうか。
■「軽商用バン×BEV」ってどうなの?
ホンダは2024年春に新型「N-VAN e:(エヌバンイー)」を発売する予定です。
この新型N-VAN e:とは、簡単に言えば、現在販売されているホンダの軽商用バン「N-VAN」のBEVモデル(バッテリーEV)。
軽商用バンにBEVという組み合わせは、“アリ”と見るべきなのでしょうか。
現段階では、新型N-VAN e:の航続距離(WLTCモード)は210km以上を目指していると発表されており、軽EVのヒット作となった日産「サクラ」が登場した時も言われていましたが、軽自動車という扱われ方を考えるとカタログ値で200km程度の航続距離があれば十分でしょう。
N-VANのような商用バンは、多くの荷物を積んで消費者へ商品を届ける物流のうち、営業所からユーザーといった、最後の区間である「ラストワンマイル」を担うことが多いです。
まず、多くの荷物を積むということを考えると、低速からトルクフルな走りを見せるBEVとのマッチングは良好と言えます。
また、最近は時間指定配達なども増えていますが、夜間の配達など、住宅地ではあまり音を出したくないものです。そのように考えるとエンジン音がないBEVは、夜間の配達でも気を遣う場面が少なく済むでしょう。
その点から見ても、軽商用バンとBEVの相性は良さそうです。
さらに、電気代が安い深夜帯に充電して昼間や夜の始め頃まで電力を使って走るというスタイルならば、ランニングコストも安く済ませることができるのではないでしょうか。
ただ、「軽商用バン×BEV」という組み合わせは先駆者が居ます。それは三菱「ミニキャブEV」です。
従来の「ミニキャブミーブ」に代わるモデルですが、2023年11月24日に改良モデルが発表され、航続距離は133kmから180kmへと延長されました。なお、価格はほぼ据え置きと言える243万1000円(2シーターモデル)となっています。
ミニキャブEVは日本郵政ですでに採用されており、新型N-VAN e:に比べて事業者が運用するという面に関してもノウハウがあります。
新型N-VAN e:もヤマト運輸との実用性検証を開始していて、新型N-VAN e:に加えて、交換式バッテリーで走る「MEV-VANコンセプト」も使用されています。
このようなタッグでどこまでシェアとノウハウを獲得できるかという面が、今後のライバルに対する課題と言えるでしょう。
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軽商用バンだけでなく、ラストワンマイルに関する輸送は、トルク特性と騒音に優れたBEVの波が来るかもしれません。
ラストワンマイルでの輸送で言えば基本的に決まったエリアになり、長距離移動をすることがないですし、充電設備との兼ね合いを考えての行動パターンも組みやすいです。
トヨタ・ダイハツ・スズキも3社で共同開発した軽商用EVバンを2023年度内に投入することを発表しており、社会を支える物流の動力源がどのように変化していくかにも注目していきたいところです。