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カッコイイ?ダサい? なぜ車のグリルに「正月飾り」減った? 廃れつつある“昭和文化”に「寂しい」の声も

くるまのニュース 2024年1月2日 14時10分

昭和時代にあったクルマの文化のひとつに、「正月飾り」があります。最近では見かけることが減りましたが、どういった理由が挙げられるのでしょうか。

■今ではほとんど見かけない? クルマの「正月飾り」

 昭和の時代には、様々なクルマ文化がありました。そのひとつに挙げられるのが、「クルマの正月飾り」です。

 正月飾りは、新しい年の神様である「年神様」をお迎えするためのもので、一般的に家庭や会社などの門に門松、玄関にしめ飾りなどを備えたりします。

 ちなみに門松は「年神様が迷わずに降りてこられるように目印」として、しめ飾りは「災いや不浄なものが家の中に入り込むのを防ぎ、年神様をお迎えするのにふさわしい場所であると示すために」飾るものとされています。

 なかでも、様々な縁起物が付いた華やかなしめ飾りは、かつてクルマに付けられている光景もよく目にしました。多くは車外のフロントグリル部分に取り付けられるのが一般的でした。

 しめ飾り自体に「災いが入るものを防ぐこと」を意味するように、クルマに取り付けることで「厄除け」「交通安全」といった願いが込められていると考えられます。

 クルマにしめ飾りなどの正月飾りが付けられていたピークは、1965年頃から1975年頃とされています。

 正月飾りやしめ縄の製造を行う千葉県のA店の担当者は、「当社での実績はないのですが、クルマ飾りのピークは1975年前後あたりではないかと思います。その頃は付けているクルマがわりと一般的でした」と説明しており、正月飾りは当時のクルマを所有する人にとって定番だったことがうかがえます。

 しかしその正月飾りは、最近では見かけることが少なくなりました。近年の売れ行きについて、前出の担当者は次のように話します。

「全国的にはおそらくクルマの正月飾りは年々微減している状況だと思われます。

 バンパーなどクルマの外側に付けるタイプは、当社でも5年前に比べても約半分以下に減っている現状なので、全国的にもかなりの減少があると思います。当社は、5年前3万個が、現在約1.2万個と5年前の40%になっています。

 近年だと、クルマの中に飾る吊り紐のタイプが主流で、こちらは当社でも過去5年前と現在でほぼ同じで推移しています」

 かつて車外に取り付けられていた主流の正月飾りは、前述の通り減少傾向にあることが分かります。

 一方で車内に取り付ける吊り紐、また、吸盤で貼り付けるようなタイプは現在でも選ばれているとのこと。

 正月飾りが減少している理由については様々で、クルマのデザインが多様化したことで「合わなくなった」ことや、そもそもフロントグリルがないことで「飾りが付けにくくなった」こと。

 なかには正月飾りを取り付けることで「傷が付く可能性がある」ことから避けるケース、また時代の変化とともに「マイカーを所有していない」ことも挙げられます。

 そもそもクルマ飾りだけでなく、家のお正月飾りや門松など、お正月文化自体が希薄になりつつあることも要因として挙げられるでしょう。

 このように様々な理由からクルマへの正月飾りが減少しているといえます。

 かつて存在した文化がなくなりつつあることに対し、SNSでは「最近見かけないなあ」「私が子どもの頃はみんなクルマにつけてたのに」「最近見かけなくなってなんだか寂しいなあ」「何十年も続いた習慣がもうすぐ消え去る。寂しいね!」などの声も多数見られました。

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 一方で、正月飾りを製造するA店では、「若い方にも興味を示してもらえるようキャラクターを使ったクルマ飾りなど若い人向けの商品も企画しています」と、若者への周知のための取り組みを行っているといいます。

 SNSでは、正月飾りを見かけなくなったという声が見られるなかで、一部ではあるものの「正月飾り買ってみた」「最近見なくなったけど逆に今つけるといいかも」といった声も見られます。なかには自作して愛車へ取り付けるという人も。

 このように過去の文化になりつつあるクルマの正月飾りですが、これを機に新年の安全と安心を願って自身の愛車に取り付けてみても良いかもしれません。

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