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なぜ「ガソリンスタンド」の屋根は平らが多い? 雨や雪はどうなる? 全国で平型ばかりの理由は?

くるまのニュース 2024年1月7日 9時10分

ガソリンスタンドの屋根は、日本のどの店舗をみても同じように平らに設計されています。冬場に雪が積もった際の雪かきが難しそうに見えますが、何か特別な理由があるのでしょうか。

■ガソリンスタンドの屋根が真っ平らなワケ

 日本のガソリンスタンドの屋根は、どの店舗のものを見ても同じように平らに設計されています。
 
 冬場に雪が積もった際の雪かきが難しそうに見えますが、何か特別な理由があるのでしょうか。

 この平らな屋根は「キャノピー」と呼ばれるもので、日本全国のどの店舗でも、ガソリンスタンドの上側には同じように平たい屋根のキャノピーが設置されています。
 
 キャノピーは、雨や日光を遮ることで従業員の給油作業の負担を軽減するためのものです。

 さらに、給油するときに燃料へ雨水などが入り込むのを防ぐ役割もあります。

 しかし、そのキャノピーに当たった雨はどこへ行くのでしょうか。一般住宅のような切妻屋根でないので、水がキャノピーを伝って流れ落ちるとは思えません。さらに、寒冷地の店舗では、冬の雪下ろしはどうしているかも気になります。

 もっというと、消防法などの何かしらの規定でこの設計に決まっているのかというと、そういったわけでもありません。

 ガソリンは非常に引火性が高い危険物なので、ガソリンスタンドの建築仕様などは消防法で細かく定められています。

 例えば、爆発炎上に備えて2m以上の防火が必要だったり、事務所のガラスは針金入りにしたりと、ガソリンスタンド施設を建設するときは建築素材や長さ、面積、耐火基準などを守らなければなりません。

 もちろん、キャノピーもそうした規定の中でつくられています。たとえば、ガソリンスタンドの屋根は5、6mの高さが必要です。ただ、真っ平らでなければならないという、形状の規制はないのです。

 ガソリンスタンドのキャノピーが水平である理由について、ある石油元売り会社は、以下のように話します。

「コストと設置するための時間を鑑みた結果、もっとも合理的であることが考えられます。

 アーチ型のガソリンスタンドもなかには存在しますが、現在ではほとんどみられません。

 また、水平のキャノピーにすることによって雨をしのぎやすいといったメリットもあります」

※ ※ ※

 かたちを規格化することで大量調達を可能にし、材料費を下げるとともに制作期間の短縮化が図れます。さらに、運送や施工における過程も合理化できるというわけです。

 とくに法的な規制がないため、日本でマイカーが普及しはじめた1970年代は、高度経済成長の波にのって、コメントにもあるアーチ型のキャノピーが流行していたといいます。

 しかし、老朽化とともに、こうした原価の高いキャノピーは姿を消しつつあります。

■雪が降っても大丈夫?雪かきをしているの?

 そんな経営上での背景によって設計されている平らなガソリンスタンドのキャノピーですが、性能面でも優れたつくりになっています。

 例えば、雨を逃す工夫が施されており、下から見上げてもわかりませんが、キャノピーの上側の面には穏やかな勾配が設けられています。

 空から落ちてきた雨粒はその勾配によってキャノピーの中央や外側に集められ、配管から排水される仕組みです。

 しかし、冬場になると積雪によって発生する雪かきなどはどのように対応できるのでしょうか。

 特に北海道などの寒冷地では、積雪量も多いことから、対応方法が難しそうに思えます。

雪国のガソリンスタンドはどうなっているのか?

 北海道のガソリンスタンドの担当者は、次のように話します。

「冬場は積雪が多いため、あまりにも積もってしまった場合は上がって雪かきをすることもありました。

 しかし基本は自然に太陽光で溶けるような設計になっているので、屋根の雪かきは基本的には必要ありません。

 北海道などでは、除雪効果を促すヒーターが屋根の内部に設置されている場合がほとんどだと思います。

 そのため、滴った水が凍ることもなく、つららなどもできないような設計です。

 高い屋根から落ちてきてクルマを傷つけることや、お客様に怪我をさせてしまうことなどもありません」
  
※ ※ ※

 かつてのガソリンスタンドは、さまざまなスタイルがみられたようです。事務所建物が円形だったり、キャノピーがアーチ型だったり、なかにはキャノピーを設置しなかったりなど、様々な店舗がありました。

 しかし、時代とともに店舗面積は小さくなり、デザインも画一化するようになりました。

 また、最近ではキャノピーに夜間を明るく照らす水銀灯が省エネタイプのLED照明へ切り替えられている店舗も多いようです。

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