トヨタを代表するベーシックな車種の「カローラ」ですが、その保守的なイメージを覆す「個性派モデル」も存在します。一体どんなモデルなのでしょうか。
■めちゃくちゃ「四角い」カローラの評価とは
「カローラ」は1966年から続くトヨタを代表する伝統的な車名のひとつですが、2007年には極めて個性的な派生車種として「カローラルミオン」というモデルが登場していました。
同車は一体どんな特徴を持つクルマで、SNSではどのような評判が見られるのでしょうか。
カローラは元来セダンタイプをメインとするモデルですが、その一方でワゴンやミニバン、SUVなど様々な「派生車」も存在します。
先述したカローラルミオンもそのような派生車の一台で、カローラのイメージを大きく覆す「幅広・背高」かつ「直線基調」の四角いフォルムが特徴的なハイトワゴン。
ボディサイズは全長4210mm×全幅1760mm×全高1630-1640mmと、カローラシリーズにおいて初めて3ナンバーサイズを採用し、大きく箱型のスタイリングが高い存在感を放ちます。
このデザインは「広さ」と「開放感」という若い世代のニーズを捉えるもので、カローラシリーズに新たなユーザーを招くことが同車に期待されていました。
実はカローラルミオンは元々、北米市場で当時トヨタが展開していた若年層向けブランド「サイオン」で販売するために開発された車種でしたが、日本でもラインナップされるに伴い、主にフロント周辺のデザインを変更。
北米感の強かった威圧的なマスクを大人しめに整えたことで、新しいカローラブランドを支える1台となるべく日本でもデビューしたのです。
このように、細かな配慮や改良を施して日本市場にに登場したカローラルミオンでしたが、一定の支持を得たものの残念ながら売れ行きは好調とは言えませんでした。
当時は同じトヨタのラインナップ内に、カローラルミオンに似た特徴を持つモデルの「bB(2代目)」が販売されており、かつbBの方が価格が安かったため、購入層がバッティングしたカローラルミオンは同社内でユーザーの取り合いに。販売では思わぬ苦戦を強いられます。
ちなみにbBの販売価格が134万円からのところ、カローラルミオンは最安グレードでも168万円からという価格設定でした。
厳密には、カローラルミオンはカローラをベースに開発した一方、bBはパッソをベースとしており、ボディサイズでもカローラルミオンはワンランクからツーランク上の存在だったのですが、ユーザーにその魅力が十分に伝わっていたかは疑問も残ります。
その後、カローラルミオンは商品力を上げるため、デザインや動力・燃費性能を向上させるマイナーチェンジや特別仕様車の発売を行いますが、大きく売り上げが改善すること無く、2015年12月で販売終了となりました。
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このカローラルミオンについて、SNSでは様々な評価が寄せられており「四角い車好きには刺さるよね~。当時はイロモノだったけど絶版になってから人気が出たタイプ」「覚えてる!ついにカローラも3ナンバーサイズになったか、という妙な感慨があった」「中で寝れそうだし、デザインもイケイケじゃなく品があったから欲しかったクルマ」「まだ走ってるのを見るから地味に良いクルマなんだろうね」など、大ヒットしなかったものの興味を持っていたという声が見られます。
また、実際に同車を購入し愛用するユーザーからの投稿もあり、「たまたま目について中古車を買ったけど、これが想像以上の当たりだった!乗り心地もまずまずで静か、燃費も最新のクルマと比べれば悪いけど十分走る」「プラットフォームが当時走りに定評があった『オーリス』とも同じなので、意外にもしなやかで良い走りでした」「足として購入したら良いクルマだった。年代的に細かな修理は発生しているけど、まだまだ乗ります!」「直線デザインだからサイズ感も掴みやすくて運転しやすい」といった、使い勝手を高く評価するコメントが見られます。
そのほか、「大きいから出だしが重く感じた。エンジンが最大で1.8リッターだったけどアメリカには2.4リッター仕様があったから、それを載せて欲しかった」と、もっとパワーが必要だったという投稿や、「次に乗り換えるクルマが見つからない…」という絶版車ユーザーならではの悩ましい声、「そんなに昔じゃないのに当時のクルマって安いね…」など、当時のクルマの新車価格の安さに衝撃を受けるコメントも印象的でした。
このように、カローラルミオンは日本市場では後継車らしいモデルもなく姿を消しましたが、実は2021年には同じ車名を引き継ぐ車種として「ルミオン」が南アフリカで発売しています。
カローラのブランド名は消えたうえ、デザインもボディタイプも全く異なる「7人乗りミニバン」の現行ルミオンですが、それでも系譜としては「2代目」といえるでしょう。