冬の夕方にクルマを運転すると、「西日」がまぶしくて前方が見えづらくなることがあります。純正のサンバイザーが装着されているものの、視界を狭めることにもなりかねません。何か良い方法はないのでしょうか。
■西日対策に有効な「透過型サンバイザー」ってなに?
冬は太陽の角度が低くなる季節で、夕方にクルマを運転するときに「西日」をまぶしく感じることがあります。
とくに、12月20日前後の「冬至(とうじ)」は太陽の高さが1年でもっとも低くなり、直射日光がより鋭角に目に入ってきて一層まぶしくなるのです。
西日がまぶしいとき、純正で装着されている「サンバイザー」を活用することがありますが、カバーできる範囲があまり広くないうえに、サンバイザーを下げると視界が狭まって信号が見えにくくなるという事態に陥ることも。
2022年にJAFがおこなった「西日対策」テストでは、屋内で曇天、西日が当たった状態を再現し、80m以内に歩行者に見立てたマネキンや信号を配置して、逆光状態でどれくらい見えるかを検証。
曇天状態ではマネキンや信号がすべて認識できるのに対し、西日状態ではほぼ認識できず、50m前後離れた対向車がうっすらと把握できる程度で、信号機は何色なのか判別できないことがわかりました。
純正サンバイザーを使用すれば歩行者をギリギリ視認できますが、逆光のため影となってしまい、さらに前方の視界が約半分となったことで信号機を確認することができません。
以前はカーテンや透過率の悪いサンシェードを使用する人も多かったのですが、現在では装着状況によっては運転者の視界を妨げる「乗車積載方法違反」(道路交通法第55条2項)になり、注意が必要です。
冬の時期に悩ましい西日への対策として、何か良い方法はないのでしょうか。
実は、西日対策のアイテムとして「透過型サンバイザー」というものがあり、大きさや色の濃さ、値段もさまざまな物が販売されています。
今回はカー用品店スタッフD氏のアドバイスを受け、筆者(金田ケイスケ)なりに最適だと思うものを実際に購入・装着してみました。
「透過型サンバイザーでは、雑光をカットする偏光機能と紫外線をカットする機能が盛り込まれたタイプが主流になっています。
そこで確認したいのが『可視光線透過率』です。透過率が低い(色が濃い)とまぶしさは軽減しますが、視認性は下がってしまいます。
適度な防眩効果と視認性を確保するには透過率70%以上の商品がおすすめです。ほかにも、大きさを含めた形状と取り付け方法、位置調整機能にも着目してください。
たいていの商品は純正サンバイザーにクリップなどで装着するので、必要以上に大きいと邪魔になってしまうことがあります。
装着するクルマと着座位置からフロントガラスの距離などで適合するサイズの商品を選びましょう」(カー用品店スタッフ D氏)
取り付け方法は、純正サンバイザーに固定用クリップで挟むだけと簡単なものが多いのですが、安価な商品はクリップが1か所しかないものも多いようです。
使用時にサンバイザーを可動させることを考慮すると、クリップが2つ装着されているほうがズレにくいでしょう。
「あとは位置調整機能が可能なほうが便利です。走行中は西日の角度も変化します。また角度調整だけでなく、横方向や縦方向へのスライド機能などが付いていれば調整しやすいでしょう」(カー用品店スタッフ D氏)
そんなアドバイスをもとに選んだのは、14inch(35.6cm)×3.25inch(8.3cm)サイズの透過型サンバイザー。クリップは左右に2か所装備(さらに固定用マジックテープ付き)、偏光機能&UVカット率99.9%(インテリアの日焼けも防止)の商品です。
安価なものは2000円前後から選べますが、今回は少し高めの5000円弱のものをチョイスしました。
サイズが純正サンバイザーと同等だったこともあり、格納時も邪魔にならず、またクリップが左右2か所なので操作時は安定感があります。
世界有数の偏光フィルム専門メーカーの子会社が製造しているということも見逃せないポイントでした。
実際に使ってみたところ、思った以上に違和感がなく走行できました。西日がまぶしいところでも、直射日光は純正サンバイザーで防ぎ、反射が厳しい前方を透過型サンバイザーでカバーするという2段構えが可能なので、視認性はかなりアップしたように感じました。
結論としては、必須アイテムとまでは言えないものの、対費用効果や手軽さを考えると、透過型サンバイザーの装着はアリだと思います。これさえあれば、西日の厳しい高速道路でもいつも以上に視界を確保できそうです。