いよいよ新型が発売開始となった、スズキのコンパクトカー「スイフト」。これまで以上に走りの性能が向上したのに、依然として低価格を維持するスゴいクルマです。新型スイフトの高い実力について深掘りします。
■世界でめちゃ売れてる「スイフト」がフルモデルチェンジ
スズキは2023年12月6日、コンパクトカー「スイフト」を7年ぶりにフルモデルチェンジしました。
これまで、国内のみならず海外でも「めちゃくちゃ売れている」スイフトですが、新型では使いやすいコンパクトボディや素性の良い走り、そして税込172万円からという異次元の価格設定などが大きな魅力として映ります。
スイフトは、国内では2000年に初代が登場しました。
海外では「イグニス」と呼ばれるこのクルマは、時代を先取りしたクロスオーバーSUVテイストを持ち、やや背が高い個性的なコンパクトカーでした。
2004年登場の2代目は、世界戦略車としていちから新開発。コンパクトサイズながらパッケージングを見直しながら、外観もスタイリッシュなデザインへ一新し、正統派のコンパクトカーへと進化しました。
グローバルではここからスイフトの名前がスタートしているため、スズキでも公式にこのモデルが初代スイフトだとしています。
140か国以上に供給されるグローバルモデルへと成長したスイフトの累計販売台数は、なんと約900万台(2004年から2023年10月末まで:スズキ調べ)。
900万台ときいてもピンとこないかもしれないですが、約20年で約900万台というと、単純計算で1年に約45万台という計算になります。
世界でもっとも売れたクルマとなったトヨタ「カローラ」の2022年の世界販売台数は112万台と桁外れですが、そんなカローラはセダンやワゴン、ハッチバックなど複数のボディタイプを持ちます。
それに対し、スイフトは基本的にハッチバック専用(一部地域でセダンあり)で、それにも関わらず約45万台と考えたら、やはりグローバルでかなり売れているモデルであることがお分かりいただけると思います。
もちろん日本市場でも人気があります。
自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計データによると、スポーツモデルの「スイフトスポーツ」を足した登録台数は、2020年が2万8108台、2021年が2万3415台、2022年が2万5113台、そして2023年が2万3790台(11月末時点)でした。
この4年間はコロナ禍が直撃したにもかかわらず、年間2万台を超える国内の新車販売が維持されていたのです。
このうちスイフトスポーツが占める割合はおよそ4割と、標準モデルであるスイフトと同様に、スイフトスポーツも人気を集めています。
■世界中のあらゆる道が「スイフト」を鍛えた!?
そんな歴代スイフトの最大の魅力は、コストにシビアなコンパクトカーらしからぬ、しっかりとした走りです。
ここでいう“走り”とは、サーキットやワインディングの領域だけでなく、一般道を含めた世界中の路面における走りのことをいいます。
グローバルモデルであるスイフトは、世界中の道路環境を想定し開発されているので、綺麗に舗装された道だけでなくデコボコの道を走ることも求められますし、様々な速度域も想定されます。
そのため新型スイフトでは、路面からの衝撃を受け止めるサスペンションやシャシーの剛性を高め、リアサスペンションのストロークも増やし、大きな路面の凹凸を乗り越えても緩和するように改良されているといいます。
また、車体とサスペンションが接触しないようにする緩衝材(バンプストッパー)を長く、かつたわみやすい特性として、路面からの突き上げを柔らかくいなす工夫もされているようです。
また、車内に入り込むノイズ低減のため、ボディ結合部には減衰性を持たせた接着剤を塗布し、バッフル材(遮音壁)の追加やダッシュパネル(エンジンルームとキャビンを隔てる壁)の板厚アップ、フロアカーペットの目付アップなども施されているのです。
車内が静かになると余計なノイズが聞こえないので、走りの質感が向上し、走りの安心感も高まります。
手抜きは一切無しのこの内容で、税込み172万円からというのは、物価高が進む現代において考えられない価格で、スズキというメーカーの凄さが伝わってきます。
従来型のスイフトは、コンパクトなボディで狭い道でも運転がしやすくて燃費もよく、余力十分なエンジンによってキビキビと走る、コンパクトカーのお手本のようなクルマでした。
上記の改良が施された新型スイフトは、先代モデル以上の走りになっていることが期待できます。
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スイフトはフルモデルチェンジごとに正常進化を重ね、そのたびに国内外のモータージャーナリストなどから高い評価を集めています。
実際に乗ってみないと正確には判断できませんが、今回の新型スイフトも正常進化していると考えたら、走行性能は同様の評価が得られるでしょう。
2023年末に登場した「小さなビッグモデル」である新型スイフト。
今回は発表されませんでしたが、今後に控える新型スイフトスポーツの登場にも期待したいです。