高速道路や幹線道路の交通量が増える年末年始は、いつも以上に運転に気を配る必要がありますが、不慣れなドライバーに対し、図らずも「あおり運転」をしてしまうケースがあるといいます。正しい車間はどのように保てば良いのでしょう。
■あおっているつもりはなくても「あおり運転」と感じられてしまうことも
「あおり運転」のひとつに、前のクルマとの車間距離を詰めて威嚇(いかく)する行為が挙げられますが、年末年始にはクルマの運転に不慣れな、いわゆる「サンデードライバー」も増えて、意図せず車間が詰まってしまうことがあります。
あおり運転にならないよう、適切な車間距離を保つためにはどのようなことに注意すればいいのでしょうか。
2020年に妨害運転、いわゆる「あおり運転」に対する罰則が創設され、あおり運転に該当する行為として10類型が示され、取り締まりが強化されています。
近年ではドライブレコーダーやSNSが普及したことで、これらが一定の抑止力となっていると考えられるものの、残念ながらあおり運転はなくなっていません。
あおり運転に該当する行為として、例えばハイビームやクラクションを使用した威嚇や、強引な追い越しや割り込みなどが挙げられます。
他のクルマの妨害をする目的でこれら10類型に該当する行為をすると、最大で懲役3年の刑に処されたり、違反点数25点が科されることにより免許取消の処分となったりする可能性があります。
こういった処罰の対象となるのはあくまでも「他車の通行を妨害する目的」で行われた場合ですが、実は自覚なしであおり運転をしてしまっているかもしれないため注意が必要です。
チューリッヒ保険会社の調査によると、あおり運転に遭遇したことのある人のうち、75.5%が「あなた(被害者自身)の自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」と回答しています。
あおり運転の10類型のひとつにも「車間距離不保持」がありますが、走行中に意図せず車間距離が詰まってしまったという経験がある人もいるのではないでしょうか。
例えば、前を走るクルマが基本的には制限速度に沿っているものの、上り坂になるとスピードが落ち、下り坂では逆にスピードが上がるというように、前のクルマの速度が一定ではない場合、上り坂で意図せず追いついて車間距離が詰まってしまうことがあります。
このことから、例え自覚がなくても、車間距離ひとつであおり運転の加害者や被害者になるリスクは常にあると考えたほうがいいでしょう。
■先行車の意図しない減速にも対応できる「車間」を保つ方法とは
あおり運転をしないためには適切な車間距離を取ること、そのために車間距離の目安を知ること、前のクルマに近づきすぎないように心や時間に余裕を持つことが大切です。
適切な車間距離について、道路交通法第26条では「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と定められています。
適切な車間距離は、その時の速度によっても差がありますが、時速40キロで22m程度、時速60キロでは44mの距離が必要だと言われています。
しかし、走行中に具体的な距離を測ることはなかなか難しいため、車間距離を時間で測る方法を意識して活用してみてください。
具体的には、進行方向の少し先に設置された街灯や標識などを目印として、前のクルマが目印の地点を通過してから自分のクルマが到達するまでに、一般道では2秒、高速道路などスピードの速い道路では3秒空けることが目安です。
この時、「イチ、ニ、サン」と数えると実際より早くカウントしてしまう可能性があるため、「ゼロイチ、ゼロニ、ゼロサン」と数えるのがポイントです。
また、高速道路などには車間距離の計測ポイントとして道路上に点線のガイドや「0m」「40m」などの標識が設置されていることがあるため、積極的に活用しましょう。
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車間距離が詰まるとあおり運転となってしまうことがあるだけでなく、追突事故のリスクが高くなるほか、渋滞を引き起こす要因にもなってしまうため、適切な車間距離を保つことが大切です。