自動車教習所では学科と技能の二つに分かれたカリキュラムが組まれていますが、なかにはあまり必要がないと感じられるものもあるようです。特に「S字」と「クランク」はどの教習所にも存在しますが、日常で見かけることはありません。なぜ存在するのでしょうか。
■自動車教習所のカリキュラムはどう組まれている?
自動車教習所(自動車教習所)では運転にまつわるさまざまな内容を学習します。
学科と技能の二つに分かれたカリキュラムが組まれていますが、なかにはあまり必要がないと感じられるものもあるようです。
免許を取得して、楽しいカーライフの第1歩を踏み出す前に、必ずと言っても過言ではないのが自動車教習所の卒業です。
多くの免許取得者は、自動車教習所で学科と技能の2つに分かれたカリキュラムを経て、本試験に臨みます。
自動車教習所で行われる教習内容は、交通ルールの理論から、技能の運転練習まで、多岐にわたります。
初めてハンドルを握るところから、高速道路の運転のほかにも、事故を防ぐための注意点など、さまざまなテクニックを学びます。
教習の内容は、公安委員会が定めたカリキュラムに沿って行われ、技能に関してはそれらの練習を段階的に進めていく流れが一般的です。
学ぶ内容のすべてが安全に運転するために必要と言われる一方で、なかには日常的な使用頻度が低いと感じられるものもあるようです。
そのひとつが「S字」と「クランク」です。
S字はハンドルを素早く切り替え、車体の動きに対する感覚を養います。また、クランクは適切な場所でハンドルを切り返しながら、クルマの大きさや位置感覚を把握する練習です。
これらはハンドル操作と車幅感覚を培うのに重要なカリキュラムのひとつと考えられる一方で、教習生にとってはあまり必要が感じられない内容になっているのかもしれません。
SNSでは「S字とクランクは難しかった割に使わない」などの声が挙げられていることも少なくないようです。
また、S字とクランク用の練習コースは、教習所内に道幅が狭くなっている特別なエリアが設けられている場合や、コーンなどで区切られているコースなど、一般道のS字やクランクとは状況が大きく異なるものが多い傾向にあるのも一因しているかもしれません。
クルマの操作にまだ慣れていない初心者にとっては、多少難しく思える内容である一方で、日常的な使用頻度やその練習内容の再現性の低さから、必要性を大きく感じない内容になっている可能性が考えられます。
さらに、卒業試験などでは狭い道幅の仮設コースに乗り上げることなく通過することが求められるなど、一部の教習生にとっては山場にもなっているようです。
■教習所のS字/クランクを練習する意味とは
そんなS字とクランクは、生徒にとっては難しいだけでなく、実用性の低さから必要がないカリキュラムなのではないかという意見も耳にします。
自動車教習所の教官は、この事情について、次のように話します。
「確かにS字とクランクは、教習生にとっては難しい部分のひとつかもしれません。
日常的にクランクなどに遭遇する機会はほとんどなくとも、そこで得られる車幅感覚を、狭い道路や駐車場などで活かすことができます。
実際に地方では、道幅も広い上に駐車場なども広く設計されているので、日常的な運転でそもそも狭い道に遭遇する機会が少ないともいえます。
しかし、都内などの都心部では狭い道も多いため、細い道幅でのクルマの操作が求められる場面も少なくありません。
地方の自動車教習所で合宿免許を取得したときには『必要ないだろう』と思ったとしても、都心に戻ればその感覚が生きるというのが想定できます」
このように、S字とクランクの再現性そのものは低い可能性がある一方で、地域によっては求められる車幅感覚やハンドル操作を学ぶための練習と言えます。
これらの技術を身につけることで、緊急時などにも役立つ可能性もあるため、一概に必要ないとは言い切れないかもしれません。
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S字とクランクは、特にマニュアル免許を取得する生徒にとっては「坂道発進」などと同様に、より難しく感じられる場所だと言われています。