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なぜ「正月飾り」付ける人減少? 年明け「風物詩」に変化あり? 「付けるべき・処分に困る」声も 現状は?

くるまのニュース 2024年1月1日 9時10分

かつては、お正月になると、クルマのフロントグリルにも正月飾りをつける人が多くいました。しかし、今ではその姿もすっかり見られないようです。いったいなぜ、クルマに正月飾りをつける人が減ってしまったのでしょうか。

■クルマにしめ縄飾りをつける風習がなくなってきた

 年末が近づくと、新年を迎えるために、鏡餅や門松など正月飾りを準備する習わしが日本にはあります。

 中にはクルマのフロントグリルにも正月飾りをつけるユーザーが多くいました。しかし、今ではその姿もすっかり見られないようです。
 
 いったいなぜ、クルマに正月飾りをつける人が減ってしまったのでしょうか。

 かつては、この正月飾りを、クルマにもつける人が多くいました。

 帰省ラッシュ時期のサービスエリアともなると、駐車場にはフロントグリルに正月飾りをつけたクルマがずらりと並んでいたといいます。

 従来のしめ縄飾りは、ワイヤーや結束バンドなどでフロントグリルに固定するのが一般的でしたが、これは少し面倒な作業でもあります。

 そこで、現在人気なのは、吸盤でガラス面などに取り付けるタイプが主流となっているようです。

 しかし、今では正月飾りをつけるクルマ自体の数が少なくなっていると言います。

 そもそも正月飾りとは、お正月に年神様を家に迎えるためのものとなります。

 その年神様が家に入るときの目印になるのが門松で、家の不浄を取り除くのがしめ縄、鏡餅は年神様へのお供えものです。

 日本では昔から正月飾りをとおして、新年を祝うとともに、無病息災や家内安全、五穀豊穣を願ってきました。

 クルマにも福が来るようにとつける正月飾りは、しめ縄を中心にした「しめ縄飾り」がほとんどです。

 しめ縄飾りのなかには縁起物を加えたタイプもあります。

 たとえば、五穀豊穣を願う稲穂や厄除けの南天、さらに長寿の海老に、夫婦愛の鶴、開運の梅など、とそのバリエーションは広がっています。 

 気軽なデザインも登場してきたしめ縄飾りですが、実際に購入する人は年々減少する傾向にあるようです。

 特に最近では、若い年代の購買客がほとんどいなくなったといいます。

※ ※ ※

 また、SNS上では、「縁起物だから格好いいとかダサいとかの問題ではない」、「お正月くらいは車内清掃して、飾りをつけたいよね」、「最近は100円ショップにもあるし気軽につけられる」といった意見がみられます。

 さらには「旧型車にはマッチする」などと、しめ縄飾りをつけたセダンの写真を投稿している人もいます。

 一方で、クルマにしめ縄飾りをつけるのはダサいという声も。

「ダサいとしか思えない」「誰が最初にやりだしたのか」「ダサいといわれてるからつけない」など、つけること自体に抵抗を覚える人もいるようです。

 また「必要・不要」の論議が繰り広げられている光景も見受けられました。

 こうしてみると、つけている人の数は減ったとはいえ、クルマのしめ縄飾りそのものが忘れられているというものでもなさそうです。

■しめ縄飾りは使ったあとに困る? 処分の方法とは

 そんなクルマのしめ縄飾りですが、なぜ取り付けるユーザーが減りつつあるのでしょうか。

 東京都でしめ縄飾りを制作する業者の担当者は、次のように話します。

「最近ではクルマのしめ縄飾りはほとんど売れなくなりました。

 都内では年々、つけるお客さんが減っていて、若い人が買いに来たというのはここ数年でまずないような印象です。

 利用者が減っている理由のひとつとしては、特に若い人は都内でクルマを持たないというのが1番大きいのではないでしょうか。

 ほかにも、都内の若い人はマンションでの1人暮らしなどが一般的なことから、家に門松を立てるという人や、家庭がそもそも減少しているかもしれません。

 一昔前の生活環境から変わったことから、そういった文化そのものが家庭内で引き継がれなくなり、必然的にクルマにつけるというのもなくなっているのかもしれません」

 このように、都内ではそもそも若者がクルマを持たないということに加えて、そもそも門松を立てないというのも原因として考えられるようです。

自動車車内用のお正月飾りなら取り付けも非常に簡単だよ?

 そのほかの理由としては、正月の期間を終えてからの処分が手間になるというのがあるようです。

 クルマ用も同じですが、正月飾りを出しておくのは、年神様が滞在する松の内まで。

 松の内とは、関西や四国では1月15日まで、そのほかの地域では1月7日までといわれています。

 松の内をすぎたら、役目を終えた正月飾りは、前年に買ったお守りやダルマとあわせて神社などに納めると良いとされています。

 また、1月15日頃に神社や地域で行われる、どんど焼き行事でお焚き上げしてもらうのも可能です。

 とはいえ、わざわざそのために神社などに行くのは難しい、というのもあるかもしれません。そうかといって、しめ縄飾りをゴミとして処分するのも気が引けるのは確かです。

 実際に、正月飾りの売り場では「つけない派」の人から、正月を迎えたあとの処分に困るという声も聞かれるといいます。

※ ※ ※

 以前はクルマのフロントグリルに堂々とつけられていたしめ縄飾りも、時代とともに車内で楽しむものに変わっていくのかもしれません。

 また、意外なことに、経費削減が叫ばれる昨今でも、バスやタクシー会社からのしめ縄飾りの需要は毎年変わらないようです。

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