クルマの「方向指示器」(ウインカー)の出し方は道交法でも明確に定められていますが、勘違いしている人も多いようです。正しいウインカーとは、どういった使い方を指すのでしょうか。
■1、2回のウインカー点灯では「意味が半減」!
交差点を右左折したり走行中に車線変更したりする際、事前に必要なのが「方向指示器」(ウインカー)の点灯ですが、1、2回の点灯で済ませてしまうドライバーを見ることがあります。
このような誤った使い方は、重大な事故につながることもあり危険です。正しいウインカーの使い方について改めて紹介します。
右左折時や車線(進路)変更の際にウインカーを点灯させることは、道路交通法第53条において規定されています。
「車両の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない」と記されています。
法律で決められている行為であり、周囲のクルマや自転車、歩行者も、クルマが右左折時や車線変更をする際には、当然ウインカーを出すものとして通行しています。
ウインカーを点灯させないドライバーは「空いているし大丈夫」と思っているのかもしれませんが、大きな間違いです。
例えば後続車から見ると、ウインカーによる予告もなく自車の前に車線変更で入られたりすることは「割り込み」と同じであり、動きを予測できないことから、非常に危険な行為となります。
またウインカーに関し、驚くような価値観を持つ人がいると聞くことがあります。
それは「ウインカーを出すことがカッコ悪い」という謎の価値観で、「カッコ悪いからギリギリに出す」というドライバーもいるといいます。
これが事実なら頭を抱えるような話ですが、当然ながら笑い事では済まされません。
ウインカーを点灯させるタイミングについては、道路交通法施行令第21条で「車線変更時には3秒前に、右左折時は曲がる地点の30メートル手前で点灯させること」と明確に定められています。
高速道路などで、ウインカー点灯と同時に車線を移ってくるドライバーを見かけることがありますが、車線変更と同時の点灯では意味が半減します。
もし後続のクルマの加速とタイミングが重なってしまえば、重大な事故にもつながりかねません。
車線変更におけるウインカー点灯は、道交法で記されているように「車線変更の3秒前」です。
チカチカと3秒くらい点灯させ、周囲へ十分に知らせながら車線変更を開始し、車線変更が完全に終わるまでは点灯させておく、というのが正しい合図のやり方です。
■「このクルマは曲がります」のアピールで思わぬリスク低減の効果も
右左折時に関しても、同様の事例が見られます。
右左折車両がウインカーを点灯させないことで、交差点を渡ろうとする歩行者が「あのクルマ、曲がらないのか」と思い、クルマが向かってくることに注意が向かないことも考えられます。
曲がる地点の30m手前というと、車間も含めればおおよそクルマ3台から4台分ほど。
随分手前だなあと感じた人は、今日から考え方を改める必要があります。
赤信号で停車中であっても、ウインカーを点灯させ周囲に「このクルマは曲がります」と知らせることが重要となります。
また、交差点を青信号で通行していく際も、ウインカーを点灯させて「曲がる」という合図をし、そのあとにブレーキで減速することが必要です。
前方のクルマが突然ブレーキを踏み、曲がりながらようやくウインカーを点灯するようであれば、後続車も驚きます。
もちろん後続車のほうも車間距離を十分に保ちながら走ることが大事ですが、とはいえ先行車が曲がるのか曲がらないのかで、後続車のドライバーの対応が違ってくることも考えられます。
万が一のリスクを避ける意味でも、ウインカーによって自車の動きを周囲に示すことは重要なことといえます。
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ウインカーを出すことなく車線変更や右左折をすると「合図不履行違反」となり、反則金6000円(普通車)、違反点数1点が科されます。
ウインカーは、周囲を交通している人に知らせるために点灯させるものです。
周囲に自身のこの先の進路を知らせることで、周囲は予測でき、事故となることを防ぐことができます。
ウインカーを点灯させることを「カッコ悪い」と思う人は、その発想自体とてもカッコ悪いことだと早く気付くべき。
何よりも「安全」を優先した「カッコイイ運転」をしてほしいものです。