近年の新型車に標準装備される装備のひとつに「ワンタッチウインカー」があります。しかし、使い方によっては違反になる可能性もあります。一体どういうことなのでしょうか。
■便利な「ワンタッチウインカー」 過信はNGです
近年採用が増えている「ワンタッチウインカー」ですが、使い方によっては違反になってしまうことがあるといいます。
ワンタッチウインカーを使う際にはどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。
近年の新しいクルマには「ワンタッチウインカー」を採用した車種も増えてきています。
これは、ウインカーレバーを軽く倒すと、ウインカーランプが3回または5回など決まった回数点滅をした後、自動的に点滅が切れるシステムです。
通常のウインカーも、一定以上にハンドルを切って戻すことで自動的に点滅が切れる仕組みになっていますが、大きな交差点を緩やかに右左折する時や車線変更する時など、ハンドルを切る角度が少ない場合には自動的にオフにならず、ウインカーを切り忘れて、点灯したまま走行してしまうリスクがあります。
ウインカーをつけっぱなしにしていると、後続車など周囲のクルマのドライバーを混乱させてしまう可能性もあるため、進路変更や右左折が終わったらウインカーが切れたことをしっかり確認する必要があります。
このとき、ワンタッチウインカーであれば3回または5回の点滅後に必ずオフになるため、切り忘れが発生せず、周囲のドライバーを混乱させてしまう心配もありません。
しかし、ワンタッチウインカーの使い方によっては交通違反となってしまう可能性があるため、利用する場面に応じて注意が必要です。
ウインカーによる合図を出すタイミングは、道路交通法第53条および道路交通法施行令第21条で定められており、具体的には次のような内容です。
例えば、右折や左折をする場合は、右左折しようとする地点または交差点の手前の側端から30m手前から合図を開始する必要があります。
また、転回つまり「Uターン」をする時は、Uターンしようとする地点の30m手前から、進路変更(車線変更)をしようとする時はその3秒前から合図を出す必要があり、いずれもそれらの行為が完了するまで出し続けなければなりません。
合図を開始するタイミングが遅すぎたり切れるのが早すぎたりすると、合図不履行違反として、普通車であれば違反点数1点と反則金6000円が科されます。
このとき、ワンタッチウインカーがおよそ3秒間点滅するとしても、車線変更の3秒前からワンタッチウインカーで合図を出すと、車線変更を始めるタイミングにはウインカーが切れてしまうことになります。
また、右左折をする場合も、時速30kmで3秒走行するとおよそ25mの距離を進むことになり、30m手前からワンタッチウインカーによる合図を開始すると、右左折する地点に到達する前に合図が切れてしまうでしょう。
横断歩道の歩行者や原付などを巻き込まないように確認をするとなると、さらに減速や一時停止することあります。こうした状況ではワンタッチウインカーでは不十分と考えられます。
そのため、通常のウインカーとワンタッチウインカーのどちらを利用するか、周囲の状況をしっかりと確認して判断するようにしましょう。
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ワンタッチウインカーを始めとして、新型車にはドライバーにとって安全で便利な機能が充実してきていますが、その機能を多用しすぎると逆に危険になったり、違反になったりする可能性もあるため注意が必要です。
あくまでもドライバーのサポート機能として活用し、必要に応じて手動で操作するなどルールを守って利用しましょう。