Infoseek 楽天

ハンドル奥の“謎のスイッチ”本当に必要? AT車なのに自分で変速したくない!? 使わない人多数の「パドルシフト」の存在意義は?

くるまのニュース 2024年1月7日 13時10分

一部のAT車では、ハンドルの奥に「パドルシフト」が装着されていることがあります。ハンドルから手を離さずに任意でシフトチェンジするための装備ですが、使わない人も多いようです。パドルシフトはいつ使うべきなのでしょうか。

■メリット感じない!? パドルシフトいつ使う?

 クルマの変速機には大まかにATとMTがあり、ATは「オートマチックトランスミッション」、MTは「マニュアルトランスミッション」を指します。
 
 クラッチペダルとギア操作をドライバーがおこなうことで変速するMT車とは異なり、クルマが自動的にギアを切り替えるAT車は、走行中にドライバーがギアを変える必要は基本的にはありません。

 現在販売されている新車のほとんどは、ATやそれに類するCVT、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載しているのですが、AT車であってもMT感覚で運転することが可能な「パドルシフト」なる装備が採用されていることがあります。

 シフトチェンジが要らないはずなのに、AT車のパドルシフトは必要な装備なのでしょうか。

 パドルシフトとは、「MTモード(メーカーによりスポーツモード/シーケンシャルシフトとも)」を操作するために使われます。

 ハンドル後方に備わる操作用スイッチが、船を漕ぐパドルのような形状であることからこの名前が付けられました。

 主にスポーツ走行時にステアリングから手を離す必要がない状態でシフトチェンジできるのがパドルシフトのメリットで、プログラムによって擬似的なギア変速が可能。

 実際のユーザーに話を聞くと、「最初は興味半分で使ってみたが、想像していたよりエンジンブレーキなどがかからず、気が付いたら使わなくなっていた」、「エンジン回転数ばかり上がって燃費が悪化したような気がするので、使うのをやめた」など、メリットを理解していない人が多いようです。

 なかでも多かったのが「そもそもシフト操作をしないで済むATなのに、わざわざギアを選ぶのが面倒」といった声です。

 とくに、ミニバンや軽ハイトワゴンのユーザーは、パドルシフトはほとんど使わないという人がほとんど。せっかく付いているのに“幽霊装備”と化しているようです。

 では、パドルシフトはどのようなシーンで使うべきなのでしょうか。

 まず考えられるのは、山道や峠道です。

 山道などのアップダウンが激しくカーブの多い道では、パドルシフトを活用することでよりスポーティにキビキビとした走りが楽しめます。

 パドルシフトを活用しなくても、加速が必要になったら強めにアクセルペダルを踏むことで、自動でギアが下がる「キックダウン」をATがしてくれますし、車速を落とすにはブレーキで調整すれば問題なく走行できます。

 しかし、山道などでDレンジに“入れっぱなし”のまま、キックダウンしながら上り坂を登るのではなく、必要なタイミングでパドルシフトを使ってギアを落とすことでよりスムーズに力強い駆動力を得ることができるのです。

 下り坂でもパドルシフトでギアを落とすとエンジンブレーキがかかるので、ブレーキを使いすぎたことによるトラブルも予防でき、安全かつスポーティに走行できます。

 冬にかけては路面凍結の心配もあり、下り坂のコーナーでの不用意なブレーキングはスリップを誘発することがあります。

 そこでパドルシフトを使ってギアを落として走行することで適度なエンジンブレーキをかけることができるので、積極的に活用してみると良いでしょう。

 ほかにも、首都高速など、曲がりくねっていたりアップダウンが激しい道路でもパドルシフトが活躍するはずです。

※ ※ ※

 パドルシフトを活用してMTモードを上手に使いこなせば、ミニバンでもいつもよりメリハリのある運転が楽しめるのではないでしょうか。

 ただし、MT感覚で走れる代わりに、パドルシフト使用時はエンジン回転数が高めになる傾向があるため、燃費が悪化することもあります。

 また、MT車に近い構造のDCT車では、半クラッチの状態をコンピュータが自動的に制御している関係で、発進時にごく僅かなタイムラグが発生。これを待たずにいきなりアクセルを強く踏み込む操作を繰り返していると、故障を招く可能性があります。

 シフトパドルを操作するときもタイムラグ後に動き出してからの操作をするよう心がけると故障のリスクを減らせるでしょう。

この記事の関連ニュース