クルマに使用される部品の多くには交換目安が設けられていますが、ホイールにも寿命や交換目安は設定されているのでしょうか。
■クルマのホイールに「交換目安」はあるのか
クルマの部品には、基本的に「交換目安」が設けられており、例えばエンジンオイルであれば「1万5000kmの走行または1年ごと」、タイヤなら「溝の深さが1.6mmあるいは使用開始から5年」などの目安が存在します。(タイヤは“スリップサイン”という交換サインも存在)
では、タイヤを取り付けるホイールには、寿命や交換目安はあるのでしょうか。
いきなり結論になりますが、実はクルマのホイールには交換目安は設けられていません。
何かにぶつかるなどして大きく損傷しない限りは交換する必要がないため、ホイールには交換目安はおろか、明確な寿命も設定されていないのです。
そのため、メーカーやタイヤ販売店で説明される内容も、「10年から20年ほど」「50年はもつ」などバラバラです。
また、「製造から〇年以内のホイールを装着すること」といった決まりもないため、製造年月の古いホイールを装着していても違反にはなりません。
しかし、交換したほうが良いケースもあります。
先出の通り、大きな傷やへこみができていたり、経年によるサビや腐食で劣化したりしていると、空気が漏れたりタイヤがバーストするといったトラブルが起きる可能性があります。
また、見た目は特に問題がなさそうでも、見えないところが劣化している可能性もあります。
そのため、極端に年式が古いホイールは使用しない方が良いかもしれません。
一方で、ホイールには消耗品であるエアバルブが装着されています。
エアバルブはタイヤの空気を抜く、漏れないように逆止弁の役割を果たすなど、タイヤに欠かせないパーツ。
エアバルブには「ゴムバルブ」と「金属バルブ」の2種類がありますが、どちらもゴムパーツの部分が劣化し、交換を怠ると空気が漏れるようになってしまいます。
よって、ホイールは何年も使えますが、エアバルブは定期的に交換するようにしましょう。
■ホイールに刻まれた「刻印」には意味がある!
クルマのホイールには「技術基準」が定められており、この基準を満たしていないホイールを装着していると車検に適合しません。
乗用車ホイールに関する技術基準は「JWL基準」と呼ばれるもので、国土交通省が1983年に定めました。
スチールホイールを除く、純正装着とアフターマーケットの軽金属製ホイール(アルミやマグネシウムなど)が対象となり、基準を満たしているホイールには「JWL」のマークが刻印されます。
また、JWLに適合しているかどうかを「自動車用軽合金製 ホイール試験協議会」という第三者機関が検査していて、この検査に合格すれば「VIA」という品質認定を受けることが可能。
そのため、JWLとVIAの両方で認定されたホイールには、2つのマークが刻印されることになります。
純正ホイールやアフターマーケットで販売されているホイールはJWL、またはJWLとVIAの認定を受けたものがほとんどですが、安価な海外製品のホイールでは、まれに認定を受けていない場合があります。
特に、格安で流通している有名ホイールブランドのコピー品はこうした認証を受けていない粗悪なものも多く、過去には強度不足によってホイールが折損し事故に繋がったケースもあります。
先述のようにJWLに適合していないホイールでは車検を受けることができないだけでなく、走行に危険が生じる可能性が高いので、購入の際は注意しましょう。
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このように、クルマのホイールは明確な交換目安や寿命が存在せず、基本的には交換せずに5年、10年と使い続けられます。
ただし、大きな損傷はもちろん、ちょっとしたキズやへこみがトラブルにつながる可能性があります。
万が一ホイールにトラブルが起こった場合は、ディーラーなどで問題がないか確認してもらうことが大切です。