トヨタのアメリカ法人は、キャルティデザインリサーチが手がけたコンセプトモデルでお蔵入りになっていた「サイオンNYCコンセプト」(2012年製作)を公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■まるでカタツムリ? トヨタが「斬新コンパクトカー」を公開
トヨタのアメリカ法人は、キャルティデザインリサーチが手がけたコンセプトモデルでお蔵入りになっていた「サイオンNYCコンセプト」(2012年製作)の写真を公開しました。
キャルティデザインリサーチは、トヨタがアメリカのニーズや嗜好にいち早く応えようと1973年カリフォルニア州に設立したデザイン拠点です。
2023年に、設立50周年を記念した企画の一環として、過去に手がけた秘蔵5モデルの写真を公開しました。2012年製作のサイオンNYCコンセプトはそのうちのひとつです。
2003年から2016年にかけてトヨタが北米で展開していた若者向けのブランドであるサイオンを冠したこのコンセプトモデルは、歩行者の多い大都市交通のあり方を見据え、ボディサイズのコンパクト化だけにとどまらず、既成概念を打ち破るユニークな視点で考案された次世代シティーカー。
混雑した狭い通りもスマートに走れて、車名の通りNew York Cityとの調和を狙ったものです。
いびつなほど背が高いパッケージは、単に奇をてらったのではなく、着座姿勢を直立に近い状態にするために考えられたもの。
通常のシートとは異なり、壁やフェンスにもたれるような姿勢になる独自の「フェンスシート」を採用。これにより乗員の視線は歩行者と同じような高さとなり、混雑したなかでも歩行者とのアイコンタクトがとりやすくなるといいます。
また、ドアガラスの下端が前方で大きくステップダウンしている点にも理由があり、 これは側方視界を広げることで、交差点を曲がる際などに、歩行者に対する安全性確保に寄与します。
さらに、低いフードからカエルの目のように突き出たヘッドライトは、デザイン上のアイコンになるだけでなく、運転席からの車両感覚が掴みやすくなるということです。