2024年1月12日、埼玉自動車大学校は東京オートサロン2024で、「S-FRコンバーチブル」を初披露しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■「えっ…!」トヨタ新型「SF-R“コンバーチブル”」初公開!? その正体とは
「発売されないのなら、自分たちで作ってしまおう!」そんなノリで制作されたのが埼玉自動車大学校の「S-FRコンバーチブル」です。
トヨタ「S-FR」とは、2015年の東京モーターショーに出展した、全長約4mとコンパクトなスポーツカー。「スモールFR(FR:フロントエンジン・リヤドライブ)」という車名の通り、小さな車体サイズながらドライブトレインは運転を楽しむために人気の後輪駆動となっているのが特徴でした。
当時は市販に向けて開発しているとされていましたが、その後プロジェクトが中止となってしまったのが悔やまれます。
2016年1月の東京オートサロンには、その発展版としてTOYOTA GAZOO Racingがカスタマイズした「S-FR Racing Concept」を出展。車高を落としたうえでワイドフェンダーやリヤウイング、ディフューザーなどを組み合わせたよりスポーティな仕様です。
埼玉自動車大学校が制作した「S-FRコンバーチブル」は、このRacing Conceptがモチーフになっています。
気になるベース車両は、なんと「マツダ・ロードスター」。現行のND型ではなく、その前世代のNC型をベースとし、丸いヘッドライトとテールランプを組み合わせることでS-FRの特徴的なデザインを再現しているというわけです。
それにしても実車を見て驚いたのは、デザインのまとまりがいいこと。制作に携わった生徒によると「S-FRは実車も見ることができないので、デザインは苦労しました」とのことですが、ロードスターのボディをベースに違和感なくS-FRの雰囲気が練り込まれているのは巧みです。
ちなみに標準タイプのS-FRではなくRacing Conceptをモチーフにしたのは「その方がカッコいいと思ったから」とか。派手なクルマが多いオートサロンへの出展も踏まえると、その判断は確かに共感できます。
フロントセクションを見ると、バンパーやヘッドライトに加えてフロントフェンダーもNC型ロードスターとは全くの別形状です。
タイヤを覆う“フレア”をなくした、スッキリとしたデザインになっています。これも「S-FR Racing Conceptのイメージに近づけるため」といいます。
丸いヘッドライトは、MINI用を流用(ライトに「MINI」と言っているのはご愛敬)。一方テールランプはダイハツCAST」用を使っているそうです。
リヤセクションは、大型リヤウイングに加えてダックテールを強調しつつ、S-FRの雰囲気を再現するためにトランクリッドが開く仕切り線もベース車両のロードスターから変更。とことんこだわっていることが伝わってきました。
自動車メカニックの育成を行っている埼玉自動車大学校には「カスタムボディ科」もあり、そのカリキュラムのひとつとして毎年オートサロンに作品を出展。そしてオートサロン出展車両を対象としたカスタムカーコンテストの最優秀賞を何度も受賞しています。
そんな彼らの若いアイデアと能力が、きっと今後のカスタマイズシーンを盛り上げてくれることでしょう。