交差点に面したコンビニの駐車場をショートカットし信号待ちを避けようとする通称「コンビニワープ」が社会問題となっています。私有地のため取締りができないという見方もありますが、果たしてどうなのでしょうか。その違法性や、コンビニ側の対策について紹介します。
■わずか数分の信号待ちすら待てない「困ったドライバー」
信号のある交差点に面したコンビニの駐車場を、斜めに横断してショートカットする、通称「コンビニワープ」。
違法ではないと主張する人もいるようですが、我々ドライバーが守らなければならないのは、信号や交通ルールだけではありません。
自分が左折したい交差点の手前で赤信号のために停止したとき、ふと左を見るとコンビニがあり、コンビニの駐車場を横切れば、信号を待つことなく左折先の道路に出ることができる……
もしそのような状況になったとしても、おそらく多くのドライバーがそのまま信号待ちをし、交差点を左折していくでしょう。
ただ残念ながら一部のドライバーは、コンビニの駐車場を素通りし、左折先の道路にワープしていくようで、SNSなどでは度々「コンビニワープやめてほしい」「危ないからやめて」という声が上がっています。
確かに、モラル的な問題をいったん無視すれば、コンビニの駐車場に入り、別の側の道路へ出る、という行為自体に違法性はありません。
ただ、コンビニワープをするような無謀なクルマは、わずか数十秒の赤信号すら待つことができない「困ったドライバー」といえ、減速をすることなく、かなりの速度で突っ切っていくクルマも多いです。
本来コンビニの駐車場へ入る際には、多くの場合歩道を横切ることになるため一時停止が必要となりますが、この手の輩は一時停止などをすることもないでしょう。
ワープをしたことが「損」にならないよう、急いで交差する道路へと出ようとし、歩道や駐車場にいる歩行者や二輪車、他のクルマの動向など見向きもしないで、焦って突っ切っていくとなると、歩行者やコンビニの利用客からすると大変危険な存在です。
実際に2020年には、ショートカットしてきたトラックが3歳の女の子をはねる、という悲惨な死亡事故が発生しています。
ただもし対策をしようとすると、ポールやゲートなどの障害物を、出入口や駐車場内などに置くことになりますが、コンビニ側からすれば、クルマが行き来しにくくなるような対策は売り上げに直接影響する可能性もあり、一朝一夕にはいきません。
そのため「通り抜け禁止」や「駐車場内で起きた事故については一切関与しない」という張り紙を掲げるなど、あらかじめ事故やトラブルへの不介入の態度を示しておくことに留まっているのが現状です。
■コンビニ駐車場は私有地だけど「公に供される場所」でもある
しかし昨今は店外に監視カメラを導入し、対策に乗り出しているコンビニも多くあるようです。
コンビニの駐車場は基本的に私有地ではありますが、不特定多数が安易に出入りできる場所は「公に供される場所」つまり「公道」であるとした判例が過去にあります。
公道であれば道路交通法の規制の範ちゅうであり、安全運転義務違反(道交法第70条第1項、安全不確認)などで取り締まりを行うことが可能となります。
また前述した、歩道を横切るときの一時停止違反でも取り締まることができるでしょう。
コンビニワープは、複数のドライバーが行うというよりも、特定のドライバーが、同じ場所で、同じ時刻に繰り返すといいます。
監視カメラでこれらの違反が確認でき、悪質性が認められれば、検挙される可能性は十分にあります。
監視カメラだけでなく、道行くクルマのドライブレコーダーや、通行人がスマホで撮影するなども考えられます。
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そもそも「違反だからダメ」という以前に、コンビニワープは重大な事故のもととなる危険な行為です。
コンビニワープでは短縮できるのは(できたとしても)わずか数分で、次の信号で追いつける程度の差でしかありません。
そして、コンビニの利用客や歩行者、はたまたワープした先の道路を通行するクルマにとって、大変迷惑な行為です。
自分勝手な行動は、いつか自分に返ってきます。
もし心当たりのあるドライバーがいたら、いますぐやめるようにしてください。