HKSは「東京オートサロン2024」で、レクサスの新型ミニバン「LM」をベースにした「HKS e-Drivingコンセプト」を発表しました。新車価格2000万円という超高級車に対し、HKSはどのようなカスタマイズを施したのでしょうか。
■究極のプライベート空間を支える「究極の足回り」
2024年1月12日から14日まで開催された「東京オートサロン2024」のHKSブースで、ひときわ注目を集めていたのが、レクサスの新型ミニバン「LM」の贅沢な後席空間に、超本格的な「e-SPORT向けドライビングシミュレーター」が仕込まれたコンセプトモデルでした。
「あのHKSが移動型ドライビングシミュレーターを発表したのか」と思ってしまいますが、実は本当の狙いは別のところにあったといいます。
レクサスが誇る高級ミニバンである「LM」は、2023年に2代目モデルへと切り替わり、日本では12月下旬に正式発売となったばかりのニューモデルです。
日本向けは、4人乗り2.5リッターハイブリッド+AWDの「LM 500h」1グレード展開で、価格は2000万円という超高額車。
その新型LMの後席にドライビングシミュレーターを搭載したのが、今回ご紹介する「レクサスLM HKS e-Drivingコンセプト」です。
エッチ・ケー・エスの広報戦略課 近藤 剛生氏にお話を聞きました。
「レクサスLM HKS e-Drivingコンセプトの狙いは、後席2人乗りという贅沢なLMの世界観をさらに凌駕する『究極的にくつろぐクルマ』です。
新型LMのコンセプトである『素に戻れるクルマ』のさらにその先をイメージし、週末にモータースポーツに勤しむ人が、サーキットまでの移動中や自宅ガレージで、ドライビング練習をするという、完全なプライベートスペースを表現しています」
クルマ好きにとって、まさに「これぞ贅沢の極み」といった空間です。
純正後席シートを取り外して搭載されたドライビングシミュレーターは、e-モータースポーツ用の最高級ドライビングシミュレーターの「DriVe X」。
本体価格のみで2~300万円、設営するにも数十万円はかかるという贅沢なマシンです。
フロアにはヘリンボーン模様のフローリングが採用されており、もともとラグジュアリーな空間が、さらにゴージャスに飾られています。
■真の狙い「ハイパーマックスパフォーマンスパッケージ」とは!?
しかし近藤氏によると、本当に訴求したかったことは別にあるといいます。
「ドライビングシミュレーターの搭載は、あくまで“究極的にくつろぐクルマ”を表現するためのものです。
真の狙いは、『ハイパーマックスパフォーマンスパッケージ』という、スプリングとダンパーによるサスペンションキットと、YAMAHA製パフォーマンスダンパーのセットにあります」
HKSはこれまでにも、先代30系「アルファード/ヴェルファイア」でチューニングを手がけており、高級ミニバンのノウハウを重ねてきました。
今回新型LMにあわせた特別チューニングでは、パフォーマンスダンパーをリアバンパーの内側、リアサイドシルの左右を繋ぐ形でインストール。
通常のスプリング&ダンパーだけのチューニングと比べて、走りのしっかり感、安定感、安心感が段違いによくなるといいます。
特に、車体がサスからの入力をしっかりと受け止めてくれるので、バネレートを1ランクは上げることができ、ミニバン特有のリア周りがしなる印象が無くなるというから、その効果は絶大なようです。
ハイトダウンスプリングと車高調整機能付きの専用ダンパー、そしてパフォーマンスダンパーのセットで、年内にはHKSの商品ラインアップに加わる見込みだと近藤氏は話します。
「このLMでは、後席スペースの“ネタ要素”が悪目立ちしてしまっていますが、よく見ていただければ、純正車高よりも低く仕上がっていることが分かると思います。
昨今のサスペンションチューニングは『動かして止める』のがトレンドなので、その方向で新型LMも仕上げています。
乗り味に大きく効くバンプラバーは、テストした上でHKS専用品に入れ替える可能性もあります」
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究極のプライベート空間を支えるには「究極の足回りが必要」ということなのでしょう。
もしも乗る機会があるならば、是非とも乗ってみたい一台といえます。